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猫電車は夢の味
朝の光が眩しい三軒茶屋駅のホームで、ウサギとカメは少し緊張しながら電車を待っていた。遠方を見つめていたウサギが、突然小さな声をあげた。「カメくん見て、あの電車だわ。本当に猫みたい...!」ホームにゆっくりと滑り込んできた電車の先頭には、招き猫の顔が大きく描かれていた。
車両のボディにも招き猫が描かれた電車に、ゆっくりと乗り込む二人の瞳に次に飛び込んできたのは、ピンク色の猫の足あとだった。車内の床のあちらこちらに広がる猫の足跡に、「これは...神過ぎる」とカメが思わず呟いた。
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電車の中にはさらに猫がいた。それはウサギの右手の中で吊り革の形をしていた。二人は猫の吊り革を握りしめながら、電車の揺れるリズムとともに、夢のような空間を体中で感じていた。
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ゆっくりと走る電車の中で、二人が猫づくしの世界にはしゃいでいると、やがて降りる駅が近づいてきた。ウサギはスピードを落とす車内で声を潜めた。「カメくん、ここで降りるわよ。今日はとことん猫三昧だからね」「りょうかいだよ」カメが小声で答えると、二人は上町駅で世田谷線を降りた。
「あれっ?駅を出るときの改札がないのね?」二人は電車を降りた後も小さな驚きに包まれながら、目を合わせ、招き猫の待つ豪徳寺に向けてゆっくりと足を踏み出した。
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