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名付けて衣類手記第1話【経験値って大事だな】

早速第1話を後k…公開してみようと思います。
よろしければ見ていってください。
※画像に拙いお絵描きを載せています趣味の #ゲーム  の一環です。


自閉症スペクトラム障害を持っている人は共感してくれるだろうか、経験値が積まれるスピードの遅さを。

発達障害とはいえ、経験を積むことである程度は適応でることもあるのだ。

でもまぁあれだ、例えば健常者が一回の練習でできることを、10回20回と繰り返さないといけない、それくらい経験値の蓄積に遅さを感じている。逆を言えば10回20回の経験さえ積めればできるようにはなるのだけど、世間で生きるには遅すぎるから辛い。


僕は人生最初に就いた仕事が「ホテルのパート清掃員」だった。
当時の僕はまだ障害が発覚していなかったので、障害支援のある場所ではないごく普通のラブホの清掃員だ。
早速教えられたことをメモに取るが、メモの通りに作業ができるようになるまでが長かった。

何せメモを見る時は片手がふさがってしまう、当然ながら片手だけでは掃除することができない。
(三倍脳の六本腕になりたい、が当時の口癖だった)

無茶してメモを見ながら掃除をしようとすると、メモはぐちゃぐちゃになり読めなくなるので書き直す。
それをおよそ一年半くらいは繰り返した。

先輩の一人に「メモ見せて?(キレ気味)」といわれたので見せると「メモの内容は合ってるのに…」と困惑された。

だが僕は幸運だった、先輩達は根気よく僕を育ててくれたのだ。
先輩は覚える速度の遅い僕に対し、何度も掃除を実演してメモと照らし合わせる時間をくれた。
必要であれば手を取って、その動きを教え込ませてくれた。

どうしても浴槽のざらつきが取れているのかわからなかった僕の手を取り、ざらつきの所に手を運んでくれて「ここだよ」とやってくれた。
最初はそれでもわからなかったが、それでも先輩は何度もそうしてくれて
少しずつ「ここがそうなのか!」と学習し、浴槽をピカピカに磨けるようになった。

他の作業でもそうして教え込んでくれているうちに、メモを見なくても順序ややり方は文字通り体が覚えていったのだ。
そして特に優しいある先輩は、振り返りの時間を作ってくれて
終業後に車の中で、今使っているメモに間違いがないかを一緒に確認してくれた。

その職場で「普通わかるでしょ」の呪いがなかったとは言わない。

でも先輩方は、僕が普通のことがわからない奴なのだと理解してくれたようであった。
普通のことができないからとイジメに走ることもなく、辞めるよう圧力をかけるでもなく、できるようになるまで教えてくれたのだ。

普通は即戦力にならなければ切り捨てられる世の中、僕はここでの仕事によって
自分は経験値の貯まりが遅いだけで、経験値が貯まらないわけではないことを理解できた。


そのうち僕にも後輩ができて、手順を教える立場になり頼られるようになった。
体が覚えるまで経験を積めた僕はその仕事を4年と数か月続けることができた。

今でもその記録を破った仕事はない。

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