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解決したいものがあるならStartup Weekend熱海へ【審査員・市来氏インタビュー】

2024年6月、Startup Weekendが初めて開催される静岡県熱海市。2011年には観光客数がピーク時の半分の246万人に落ち込みましたが、2017年には310万人まで持ち直し、「熱海の奇跡」と呼ばれるほどのV字回復を遂げました。

そんな熱海の奇跡の立役者が市来広一郎氏です。今回はStartup Weekend 熱海の審査員も務める、株式会社machimori代表取締役の市来さんにインタビューし、事業で大切にしていることや熱海のスタートアップに求めることを伺いました。

■プロフィール:市来広一郎さん
1979年熱海生まれ熱海育ち。東京都立大学大学院理学研究科修了後、IBMビジネスコンサルティングサービス(現日本IBM)にて勤務。2007年熱海にUターンし、地域づくりに取り組み始める。
2011年には株式会社machimoriを設立。空き店舗にカフェやゲストハウス、コワーキングスペースを起ち上げ運営するなどの取組により熱海銀座エリアは空き店舗が0へと再生した。


100年後の熱海を見据えたまちづくり

ーー株式会社machimoriの事業について、簡単に教えてください。

「100年後も豊かな暮らしができる熱海をつくる」をミッションに、まちづくりをしています。この10年以上、シャッター街の再生に取り組んできました。一部のエリアはだいぶ変わってきており、例えば、熱海銀座商店街の3分の1を占めていた空き店舗は現在ではゼロになりました。

しかし、まだまだ変わっていない部分もあったり、盛り上がったからこその課題が出てきたりしています。私たちがするのは、現場を常に見ながら、まちづくりとしての次の一手を考え続けることです。

熱海は観光地ですが、熱海で暮らしている人にとってもプラスにならないと意味がないと考えており、彼らがハッピーな状態になることを追求し続けています。


何事も素直に受け取ってなんとか変えていく

ーー熱海で暮らす人に目を向けているのですね。観光客向けの事業が多い熱海では、受け入れてもらうまでに苦労も大きかったかと思います。

そうですね。地元の人たちにとっても「熱海は観光地」というある種こびりついた考えがあるので、なかなか理解してもらえませんでした。何が起こるのかが見えない不安から批判的なことを言われたこともあります。

しかし、自分たち(※株式会社machimori)が関わったことで楽しかったと実感する人が増えてきて、賛同してくれる人たちの輪が広がりましたね。振り返ると、批判を受けることを気にせず、自分たちを求めている人に価値を提供し続けることが大切だったのだろうと思います。


ーー批判もあったとのことですが、事業をする上で市来さんが大切にしていることを教えてください。

素直であることを大切にしています。会社のバリューで言うと「Be the change」、変化を体現することですね。特にマイナスなことが起きたときに、誰かや何かのせいにしないできちんと受け止めて、自分たちの行動や考え方を変えることを意識しています。

例えば、熱海の人が町の魅力を知らないという課題に取り組んだときは、まず自分が町の価値を知るべく、町を案内をしてもらったり、おもしろい人を紹介してもらったりした後に、町の魅力を知ってもらう『熱海おんぱく』というイベントを開催しました。

誰かに目を向けるのではなく「はたして自分はどうなんだろう」と問いかけるのが大事だということ、自分が変化したときこそ周りに与えるインパクトが大きいことを実感しています。


求めるのは本当に課題解決になっていること

運営するguest house MARUYA

ーー市来さん自身、大変な創業期を乗り越えてきたことと思います。先輩起業家として、熱海のまちづくり会社として、市来さんのスタートアップへの想いを教えてください。

町の価値が上がる事業が生まれるきっかけを作りたいと思っています。単純に観光客がたくさんいるからそこに向けて何かすればいいという話ではなく、もし観光客がいないとしてもプラスになるものを作っていかないといけません。

熱海は課題先進的な地域で、コンパクトな町に多様な課題がひしめき合っています。どこでも通用するグローバルなものではなく、地域にどっぷり入り込んだ上で、きちんとそこで起きている問題の解決になることをやってほしいと思います。

社会にとって「良さそう」なものではなく、本当に問題解決しているもの、本質的にこれからの地域や社会の価値を作るものをローカルな現場の中で見出してほしいですね。


何かを解決したい人にはぜひ参加してほしい

ーー初めての開催となるStartup Weekend 熱海ですが、どのような人に参加してほしいですか?

おぼろげでもいいし、モヤモヤしていてもいいので、実現したい何かがある人には参加してほしいですね。自分の中の種みたいなものが自分だけでは見つけられないとか、形になっていかないと感じているのであれば、地域の中にどっぷり入ることが何かのヒントになるかもしれません。

自分自身も最初は言語化できていなかったですし、いろいろな経験をしたりフィードバックをもらったりすることで見えてくるものがあると思います。


ーー最後にStartup Weekend熱海の参加者にメッセージをお願いします。

素直であること、目の前で見たものや受けた言葉をきちんと素直に受け止めて、そこから考えてみることがすごく大事です。これまで地域の中で起業する人たちをたくさん見てきましたが、伸びていくのは素直な人たちだし、きちんと形にできるのも素直な人たちでした。

自分のこだわりは大事だけれど、変なところに固執しないで自分の考え方も行動も変えていくことが大事だな、と。そして、熱海に来たら頭で考えるだけではなく、五感を使って思いきり楽しんでほしいです。


編集後記

熱海の奇跡の立役者と言われる市来さんも最初からやりたいことが明確だったのではなく、フィードバックを素直に受け止めて、変化し続けてきたと言います。

はじめは何を実現したいかがおぼろげでだったとしても、54時間のStartup Weekendを終える頃にはそれがはっきりとしてくることでしょう。やりたいことが明確でないから…と参加をためらうのではなく、やりたいことをはっきりさせる良い機会だと思って飛び込んでみるのがおすすめです。


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