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干物×ソミュール液 #03

■廣瀬さんという男

友人であり、今回のソミュール干物の遊び仲間でもある廣瀬さんに、今回の干物を半身ずつ郵送して実験台になってもらった。

干物として比較的よい出来だと思っていたので、この度の試食依頼は左程の心配もなかったが、実験が進むにつれて、廣瀬家でちょっとした騒動を巻き起こすような出来栄えのものを送りつけることもあるだろう。そんなときでも試食してくれてありがとう。前もって御礼いたします。

廣瀬さんに協力をお願いしたのは、彼が酒呑みで、料理が好きで、薫製にも詳しかったことは大きい。彼は建築設計を職業としているが、その人種には酒が好きで、酒の肴に詳しい人が多い。

その点はこの干物遊びにたいへん重要で、なぜならゆくゆく赤白問わずワインに合う干物を作り上げようという野望があるからだ。国産ワインに合わせようとしている。

そんなとき、彼の酒呑みの才能は遺憾なく発揮されるに違いない。

そして、それにも増して最も重要なことは、彼のその誠実な人柄である。彼は私が送った半身をすべて試食したうえで、詳細なリポートを返信して来てくれた。たいへん参考になるありがたい情報だ。

以下はそのリポートである。

■廣瀬リポート

干物考察

【食べた人】
私(男)
元々味は濃いめ。
肉>魚
魚は基本、刺身>煮>焼きの順。ただし西京漬けとか粕漬けとか、付けたもの好き。
青魚>白身>赤身 かな。

かみさん(女)
薄味
好き嫌い無し。
父が干物とかを作っていたので、干物作成自体に驚きは無し。
海が好きなので、食塩3%は海水濃度と同じと言っていた。

【食べた環境】
夕食として先に主食を食べ、第二弾としてつまみ的な感じ。
先にビールと残っていた赤ワイン1杯飲んでから、冷やした白ワインと合わせる感じで実食。

【食べた順】
6%150分と9%150分を先に食べる。
食べ終わった後に3%の30・90・150分を食べる。
どれも焼き具合は普通。

【感想】
全体として
鯵自体が美味しい。
ハーブを使用している為か、青臭さが全く感じなかった。
漬け込む液に砂糖が入っているからか、少し甘味を感じられたのと、ふっくらした感じがした。
この甘味は魚本来の旨味かは判別つかず。

長く漬け込むと身が弱くなるイメージ。ただ塩分が高くなる事で身が弱くなるのを防ぐ効果があると感じた。

6%150分
一番最初に食べたのはこれ。
最初の感想は「ちょっとだけ辛いけど、美味しい。ちゃんと干物」「若干ハーブの感じがする」
ハーブに関しては、頂いた時にハーブを使用していると聞いているから気付いたのかもしれない。
同時に9%を食べていたので、その時は凄く食べやすく感じていた。

9%150分
濃い味が好きな私としては全然食べられた。ただ続けるのは少し濃いので、チーズなどと一緒に食べるのが良いと感じた。
パスタ・ピザなどに混ぜるのが王道的な使い方と感じた。
かみさんは「アンチョビ的な使い方で試してみたい」としきりに言っていた。

3%30分
一番干物っぽい。
「味醂干し」「一夜干し」とかと同じ感じで、「ハーブ干物」としてジャンルを確立できると思う。
鯵ではなくエボ鯛とかの感覚を得られる。

3%90分
比較しながら食べているので、一番印象が薄い。バランスは良い。
少し味が濃いめの干物として北国とかに需要が有りそう。

3%150分
味が少し濃いめで身が弱いので、ディップ・ペーストなどに使いたい。
そのままだと少し水気が強い感じ。

■次回へ向けた対策

ハーブ感がない
☞単純にハーブ量を増やして比較する

廣瀬さんと私では、いくぶん試食の感想に違いがあるようだ。大きな相違は「ハーブを感じたか否か」だろう。

私はハーブの風味付けに失敗したと認識したので、次回はかなり積極的な手法を取ろうとしていたが、廣瀬さんの感想を土台にするなら、そこまでする必要はない。

to be continued


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