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封殺される自動車産業の取組み

「理系学生に告ぐ、日本の自動車産業は「オワコン」ではない」
(ITmediaビジネスONLINE/池田直渡)


 池田直渡氏の記事を読むにあたり、1点だけ注意しておくべき事がある。
 それは、氏が「気候変動人為説の疑義は問わない」「CO2排出量削減は正しいという体にする」と公言しているという点である。
 従って氏の書く記事はどれも、CO2排出量削減に対する企業の取り組み自体を否定したりはしない。

 そこを理解していないと、「CO2削減を是とするなど不道徳の極みだ!」という風に受け取ってしまい、「池田直渡は碌なものでは無い!」という結論に至ってしまう。
 大前提として、気候変動人為説並びにCO2悪玉論は、大衆を隷属させたい左翼・全体主義者の創造したプロパガンダである。従って、「企業はCO2削減に取り組むべき」などと声高に主張する行為は悪である。
 だが、現実は正論だけで罷り通る程単純では無い。この件に限定して具体的に言うと、気候変動人為説というカルト宗教的思想は極めて深いところまで侵食しており、解決に向けて手順を踏まざるを得ないという事である。

 池田氏が気候変動人為説そのものを、本音の部分でどう思っているかは分からない。
 だが少なくとも、氏の書く記事は「気候変動人為説を肯定しても尚、奴等の主張には多くの矛盾が存在する」という事を示してくれる。それだけでも有意義だと思う。


 EV優遇策が猛威を奮っている。異を唱えるべき国民は、刷り込まれた気候変動人為説とCO2悪玉論。更には、長年に渡って日本社会を蝕んできた保護主義によって、完全に思考停止状態である。
 「シーオーツーを減らさにゃならんから、政府がカネを出すのは当然だ」「トヨタは儲けすぎだから、もっと社会貢献しろ」「他の自動車メーカも一緒だ」「古い体質に執着していないで、さっさとイーブイを作れ」「政府はもっと規制して、メーカを煽らにゃあイカン」「欧州はイーブイに舵を切った」「日本は古い技術にしがみついてばかりだ」「日本はオワコン」

 面白いのは、日本の自動車メーカが儲かっていると思っているところである。
 確かに自動車各社は並ならぬ努力によって、物価高や規制に苦しめられながらも収益を生み出している。しかしその一方で、自動車各社の「EVに傾注はしない」という判断を「出遅れ」「オワコン」と断定するのは何なのか。
 収益悪化が止まらないという状況なら口を出したくなるのも分かる。だが現実は違う。自動車メーカからしてみれば、シロウト共に心配されるなど大きなお世話というところであろう。


 日本勢がEVで出遅れたと叫ぶ者達は、基本的に人の話を聞かない。それが良く分かるのは少し前の話だが、HONDAの三部社長が就任する際の会見であろう。
 会見の中で三部氏から、「EV+FCV100%を目指す」という様な発言があった。そしてその後の質疑応答で、「EV+FCV100%はカーボンニュートラルを目指すという意味で、実際はバイオ燃料などの可能性も含め、手段を限定するという意味では無い」という様な発言もあった。
 ここで動いたのが、バカメディアを始めとする「EV出遅れ」「オワコン」を主張する者共である。
 会見で語られた内容から、「EV+FCV100%」だけを殊更に切り取って、「HONDAはEVとFCVに舵を切った」と断定したのである。

 EVに関連する情報というのは、報道を表面的に攫っているだけではまともな物に出会えない。(EVに限らないが)
 「欧州では」と言うが、当の欧州では昨今のエネルギー価格高騰もあり、EVの走行規制(充電規制を含む)に踏み切る勢いである。
 EVというのは、欧州でも米国でも中国でも、残念ながら日本でも、補助金というものが出される。それ以外でも国や地域に応じて様々な優遇策が用意されている。CO2排出クレジットというのもある。これが無ければEV専業メーカは赤字である。
 大体、既存の自動車メーカはEV製造・販売でまともな収益を上げられていない。まともに利益を乗せると高すぎて売れないからである。補助金を乗せてもまだ高い。
 一方で、CO2排出クレジットは自動車メーカがエンジン車の販売を止めれば消滅する。そもそも、補助金というのは社会全体に経済力が無ければ維持できない。経済を支える上で、自動車産業の貢献度は絶大である。
 この様に考えると、EVというのはエンジン車によって生かされているとさえ言える。

 もし、ハイブリッドを含むエンジン車が規制で製造禁止になれば、経済は大きく落ち込む。置き換え対象として候補に上がっているEVやFCVは経済成長に貢献出来ないどころか、寧ろマイナスである。
 そうなれば、EVに転換どころでは無い。そもそも自動車を購入出来る人の絶対数が大幅に減少する。地球が人為的に排出されたCO2でどうにかなる前に、人類がどうにかなるのではないか。


 どの様な産業に対しても、カーボンニュートラルを強いる行為は、自分で自分の首を絞めるに等しい。その中で自動車産業は驚愕すべき努力によって、その様な社会的圧力を受けながら日本経済を支えている。
 その事実を、もっと多くの国民が理解すべきではないか。


※補足①

 直ぐに「大企業による下請けイジメ」と言い出すバカが居るが、この様なバカには「バーーーカ!(`∀´ )」と言い捨てて良い。

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