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無職の統合失調症患者よ、就労に憧れずに就労しろ

この記事は私の経験不足から偏見に満ちたものになるかもしれない。
しかし、恐れずに、私が精神障害者の就労について長年思ってきたことを書きたい。

障害者の就労支援施設でパンを焼いている所がたくさんある。しかし、そこで作業している利用者は全員パン職人になりたいのだろうか?パンを焼く工程は私にはわからないが、けっこう複雑だと思う。
たしかに作業療法にはなるだろう。

しかし、そんな複雑な作業をして安い工賃を得るより、もっと簡単な仕事で、一般就労したほうが、心のリハビリとしては効果的だと思う。

例えば、「草むしり」。
私は造園会社に勤め、一日一万円で働いたことがある。(ちなみに私は統合失調症を患っている)。その造園というか植木の仕事で一日中、お客さんの家の庭の草むしりをしたことがある。一日草むしりをして一万円、いいと思わないか?

「草むしりなんて嫌だ」という人もいるかもしれない。私はそういう統合失調症患者で無職の人に言いたい。「あなたは草むしりもできないのか」と。

統合失調症を患っていてもできる仕事はいくらでもあるのだ。贅沢を言うべきではない。一日一万円の草むしりより、時給二百円のパン作りを選ぶのか?
もちろん草むしりもパン作りもできない重度の人もいるだろう。でも家から出て施設に通う能力があるならば、一般の仕事でできることはたくさんある。それとも、草むしりなんてカッコ悪いと言うのだろうか?
私は雨の降る日にカッパを着て、庭の草むしりを一日中やった。植木の相場は一日八千円だそうだ。つまり時給千円。しかし、私の親方は一日一万円くれた。
お金をもらえる満足感、大変な仕事をしたという自己肯定感、こんなに精神によいものはなかなかないと思う。

地味で肉体的に大変な仕事から始めれば、きっと自信はついていく。
将来の夢と違うからと、地味でもできるはずの仕事から逃げていては、将来の夢にも繋がらないと思う。べつに私は草むしりをやれと言っているのではない。最初から贅沢を言うな、と言いたいのだ。

パソコンを障害者に教える施設がある。就労を目標に掲げた施設だ。
パソコンができれば仕事ができる?私は現在、介護施設で働いているが、パソコンを使うことなどない。介護記録はボールペンで手書きだ。
私が思うに、パソコンを教える施設に通う精神障害者はパソコンを使いこなし、電話応対をするカッコイイ自分を夢見ているに違いない(これが私の偏見)。
ある種の職業に憧れるのはよくあることだが、そんな憧れの職業も、じつは地味な仕事の繰り返しだと思う。パソコンだって画面に向かって一人でやる地味な仕事だ。パソコンを使いこなせるIT時代の最先端を行っているのがカッコイイというイメージを持っているとしたら、それは錯覚だ。自分にできないことをしている人がカッコよく思えるのは世の常だ。パソコンを使った仕事に憧れるのは、大昔の人が「電話交換士」や「タイピスト」に憧れたのと同じだ。今のあなたは「電話交換士」になりたいと思うか?


まず、足下から一歩一歩進んで行こう。
今のままでもできる仕事はきっとある。

就労支援のやり方でIPSというものがある。重い精神障害があってもとりあえず希望の職種へ就職させて、それからサポートしていくというものだ。私はソーシャルワーカーとして、一時この支援方法に興味を持ったが、すぐに熱は冷めてしまった。私がしたいことと少しずれている気がしたからだ。

私自身の経験から支援は精神的な後方支援のみで充分だと思う。私の場合、デイケアがあったことがなによりの心の支えとなっていた。(だいたい草むしりなんかに支援者が要るか?)
「ふつうの人間」として働いていれば、周りは「ふつうの人間」として接してくれる。これはなによりの心のリハビリになる。

私は現在、介護施設で働いている。しかし、介護職に憧れたことは一度もない。誰が年寄りのオムツ交換に憧れる?
私はそんな仕事でも充実感を感じている。

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