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海外で得た現金を日本で使う場合の節税方法

はじめに

 海外で得たお金を日本で使用する場合に、いくつか注意することがあります。これを知らずに日本の銀行に送金し使用してしまうと最悪の場合、多大な税金が課される可能性があります。なのでそれなりの事前準備と仕組みを理解しておく必要があります。
 今回は自分が国税庁で公表されている事例や税理士のHPから得られる情報を基にどうすれば節税できるかを考察しまました。

注意

 私はCPAや日本での税理士免許は所持しておりません。あくまで個人として調査した結果をまとめたものです。なので実際に行う場合は自己責任のもとに実施してください。または一度専門家の方にアドバイスをもらい実施してください。


為替損益の考え方

 いくつ興味深い事例を国税庁のHPで見つけたので、それを例にとり考察してみたいと思います。

事例1 : $->$での為替差益

 満期時のドル建て定期の元本を円転せずに、ドルのまま別の銀行に移す。定期設定時と満期時の為替損益を所得として認識する必要があるか

  • ドルで銀行Aで定期にした。$1=¥100

  • 満期時に$1=¥110になっていた

  • 満期時に銀行Aで運用していた元本は円転していない

  • 元本はドルのまま銀行Bに移動

 結論としては元本部分の為替損益による所得は認識されない。つまり課税されない。文面で明確に提示されていないが定期貯金の満期時に発生した金利により得た利益分は課税対象となる。この部分に対しては銀行がどのように対応するかで為替差益分が課税されるかが決まる。
 利益分がドルのままで支払われるならば、為替損益による所得分の税金は課税対象外となるが円で支払われるのならば課税対象となる。

事例2 : ¥->$->€での為替差益

 円を元手にドルを経由しユーロにした場合に為替損益による所得を認識するかの事例である。ここでのポイントは$->€時に¥に換金していないことである。

  • ¥->$ の換算レートは$1=¥100

  • $->€の換算レートは$1=€0.8

  • $->€実施時の¥->€レートは€1=¥150

 結論としては為替損益による所得は認識される。$->€時に円を経由していないにも関わらず¥->€を実質的に実施したとみなされる。そのため為替損益分による所得分の課税が発生する

事例3 : $->$建MMFでの為替差分

 ドル建ての貯金を、円に換金せずドルのままMMFに投資した場合に、為替損益による所得を認識するかの事例です。これはかなり興味深い事例です。

  • ドル建て貯金の設定時の為替レート$1=¥90

  • MMFに投資開始時の為替レート$1=¥105

 結論としては為替損益による所得が認識されます。国税庁の見解としてはMMFに投資することで新たな経済価値をもつものが外部より流入したとみなされ、その時点での流入資産の価値を評価し課税するというのが見解です。

分かったこと

 3つの事例を見てきました。これらを基にまとめると以下のことが分かってきます。

  1. 外貨貯金を用いて新たな経済価値を流入する場合(株、MMF、債券や不動産)は、その時点での為替損益が所得として認識される。たとえ一度も円転しなくともこれは回避できない。

  2. 外貨貯金を円転せず別の銀行などに移す場合は、新たな価値を流入しておらず単なる移動なので、為替損益による所得は認識されない。

  3. 円を介さなくとも、通貨を売買する場合は、その都度為替損益による所得が認識されるので課税対象となる

今後考えること

 今回の調査で分かったことは、現地で得た所得を日本へ送金してまで使うメリットがどこまであるかです。たとえば日本で家を買うなどを考えている場合は別の税制的に有利な方法を考えた方が良いかもしれません。
 普通に生活する分には、家賃支払いや公共料金の最適限の支払い以外は、現地発行のクレジットカードで現地の銀行から引き落としをしている方が良いかと思います。その場合は現地の銀行を維持する方法を考える必要があります。


アメリカSilicon Valley在住のエンジニアです。日本企業から突然アメリカ企業に転職して気が付いた事や知って役に立った事を書いています。