イオン注入技術をサクッと解説
はじめに
今回はイオン注入技術に関してサクッと解説したいと思います。なぜサクっッとかと言うと、かなり奥が深い技術でそれを解説しているサイトは沢山あります。なので、自分はどのようにToolが選択されているかなどをまとめておく方が、他との補完ともなるのでそこに徹したいと思います。
自己紹介
日本の大学でPhDを取得し、日本の会社に就職するも会社の方針転換で一年も経たずに外部に出向し、先行きが見えないため別の日本企業に転職。なぜか転勤族になり西の方に移住。英語を勉強して外資系に転職しVISAをサポートしていただきUSに移住。その後GCを取得しBay Areaの大手テック企業に転職して今にいたります。専門は半導体のプロセス設計です。
半導体に関する記事等はこちらに集約しておりますので、ご参考までにリンクを貼っておきます。一部有料ですが作者のお茶代と思ってください。
イオン注入とは
イオン注入は、名前の通りイオン化した粒子を加速器で加速し、基板に注入する方法です。注入できるイオン種は、プラズマなどでイオン化できる原子または分子です。もうしこし詳しくイオン注入に関してプロセス詳細を書いておきます。
特殊ガスやバブリングにより、プラズマチャンバーにイオン種を導入
プラズマを利用し原子または分子をイオン化
イオン化したプラズマガスを加速器で加速
質量分析器で注入に必要なイオンだけ選択する
加速器、または減速器で所望のエネルギーにして基板に注入
となります。専門家が見たら怒られる内容ですが、おおよそくこのような過程があるとだけ理解していただければ良いかと思います。
半導体の製造工程で頻繁に使われるイオン種に関して簡単にまとめておきたいと思います。これ以外にもパワー半導体だったり、化合物半導体だったりするとイオン種が異なるので注意が必要です。
B:ホウ素(Boron)およびBF2(Boron Fluoride) for p-type
As: 素(Arsenic) for n-type
P: リン(Phosphorous) for n-type
F: フッ素(Fluorine) for 界面不活性化
Sb: アンチモン(Antimony) for n-type
大抵の半導体製造(Si系に限る)は上記のイオン種の組み合わせで、製造できます。ぜひこの機会に覚えてください。
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アメリカSilicon Valley在住のエンジニアです。日本企業から突然アメリカ企業に転職して気が付いた事や知って役に立った事を書いています。