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Mogwai。スコットランドから現れた(ポストロック+エレクトロニカの)妖怪。

雄大でスペイシー。心と体をリラックスさせてくれて、聴いているうちにリンパ液が流れてゆく。ポスト・ロックとエレクトロニカの融合。音楽が未知の領域に踏み込んでいて。屋外ライヴで聴くと、会場中が陶酔感に包まれるでしょう。スコットランドのインストゥルメンタル・バンドです。想像力のスケールのデカいいこと。自然環境は想像力に影響するものですね。だってスコットランドって雄大な大地に、城だの城壁だのがものものしいところ。そりゃあああいう土地はこういう音楽を育てるでしょう。


Mogwaiのデビューは1991年。活動歴30年あまり。もはや大御所ですね。なお、バンド名Mogwai は中国語の魔怪。妖怪変化、化け物、モンスターのことだそうな。

スコットランドってどういう土地なんでしょう? 観光地として有名なのはスコッチウイスキーの蒸留所。これは、まぁ、いいとして。あとは(殺人鬼、魔女、幽霊が出るという伝説に包まれた)エディンバラの地下金庫、お化け屋敷と墓地ツアーとか、観光会社はなに考えてるんでしょうね。他に売るものはないのでしょうか??? もっとも、村上春樹さんはきっとスコッチ蒸留所見学を口実に怪しげな場所をもまわられたのではないかしらん。エディンバラってまさに奇譚の都って感じですものね。



音楽に限らず、イギリス近代文化はまずイングランド/スコットランドのふたつの文化の対立的両立がまずあって。次にウェールズ、さらには北イングランドがあって、さらには(旧)殖民地国家が連なるという構図でしょ。


もしもイングランド人の側に立つと、スコットランド人って、山岳地帯で革袋に笛つけた変な楽器吹いて、どんくさい音楽奏で、男がパンツも穿かず、チェックのスカート穿いて、みんなで変な踊り踊って足上げてちんこ見せて、たとえ女王陛下の前でも、踊って足上げてちんこ見せて、あいつらみんな田舎者のアホばっか、ってことになるのかな??? 逆に、スコットランド人はそんな軽薄で皮肉屋のイングランド人どもを軽蔑し、愛しい大地スコットランドへの郷土愛が生まれるかしらん。


長年UKロックを聴いてるだけでもそのあたりはなんとなく勘づいちゃうものですよ。おもえばThe Bay City Rollersはスコットランドの兄ちゃんたちが精一杯かっこつけてる、ロック界のフォーリーブスだった。ポストパンクの時期に現れたThe Skidsもスコッチ丸出しの田舎の兄ちゃんたちだった。他方、Big Country はそのバンド名に「うるせー、おまえら、田舎田舎バカにすんじゃねーよ、愛に満ちた素晴らしい大自然なんだよ、おれたちの土地はよ」っていう誇りを込めてるんですね??? The Jesus and Mary Chainのサウンドには大自然の雄大さを感じます。そうかとおもえば、Primal Scream はそんな田舎っぽさを隠しきってひたすらかっこつけてますね。そうかとおもえば、スコットランド人には澄んだ瞳の心優しさもまたあって、たとえばPostcard RecordsのAztec CameraやOrange Juiceなどネオアコースティックを流行らせたのもまたスコットランド発です。そんなスコットランドこそが、Mogwaiが生まれた土地であって、かれらは雄大でスペイシー。ポスト・ロックとエレクトロニカを融合させる。


余談ながらUKロックをイングランド/スコットランドの対立で語ることはいかにもかんたんだけれど、しかし、ウェールズなんてBadfingerくらいしかおもい浮かばないし、北アイルランドはThemの他には・・・。でも、こんなことを言うと、きっと現地ウェールズや北アイルランドのロックファンは怒っちゃうでしょうね。


special thanks to 湘南の宇宙さん

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