尊敬を得るために違いを伝える
Xの上で、心理職の「専門性」に関連して
と言う議論を行いました。私も、別のブログでも書きましたが
お礼と尊敬を強制してはいけない: 勉強の方法補充 (cocolog-nifty.com)
尊敬などを強要するのは反対です。
しかしながら、心理職の専門性に関しては、もう少し議論必要があります。
私が危惧しているのは
専門的な手法の浅い理解の蔓延
です。一例を挙げると
傾聴能力
の浅薄な使い方です。私は、会社で社員研修を担当したので、管理職や監督職の研修内容も知っています。そこでは
積極的傾聴法
と言う項目があるのです。但し、その実態は
上から押さえ込まず
部下の言うことを黙って聞け
と言う1時間程度の座学レベルです。とても
ロジャーズが悩み抜いて編み出した
傾聴の力
を理解できるとは思えません。
また、組織の活性化で使われる、ファミリートレーニングも
ロジャーズのエンカウンターグループの応用
ですが、ロジャーズ父娘が作り上げたモノと異なり
単に自分の意見を言って満足
と言うレベルが多くなっています。
この議論は、以下のnoteでも書きました。
カウンセラーは単に聞くだけ?|鈴木良実 (note.com)
更に別の面では、日本の文明の特徴として
新書版の啓発書
が溢れています。そこでは「フロイトの精神分析入門」などの解説が出ています。そこで書かれていることは
抑圧されたことが表に出れば解決
と言う話です。確かに、それで解決した事例もあるでしょう。しかしながら
抑圧にはそれなりの理由が有る
のです。極端な話、子供の頃に毒親を殺した子が、その記憶を抑圧していたとします。しかし、それは完全には消えず、悪夢となって、時々悩ませている。そこで、昔の記憶を明確にすれば、悪夢はなくなるでしょう。しかし、今度は、親殺しの重荷がかかり、最悪は自殺となります。
実際、心理職の人たちが、クライエントと向き合い、傾聴する場合には
クライエントの心のバランスを見て
危険な状況にならないように配慮
但し効果が出るように引き出す
という綱渡りを行っています。これは
両側絶壁の細い稜線を歩く
ような作業です。
こうした
研ぎ澄まされた技の専門性
は
尊敬されるべき
だと思います。この凄さを伝える努力は、関係者も行うべきかと思います。
なお、この裏側にマウンティング問題があります。以下のnoteも見ていただければ幸いです。
学校教育でのマウンティング|鈴木良実 (note.com)
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