別姓でも幸せ家族です。

2021年6月23日、最高裁で2度目の選択的夫婦別姓制度に関しての判決が。

予想していたとはいえ、やはり一抹の怒りが…
ということで、2015年のときの判決後に書いた文章をそのまま掲載します。

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2015/12/16、最高裁で「夫婦別姓」についての憲法判断が出ました。

婚姻時に、どちらかの姓に統一するという今の法律は「違憲」ではない、との判決でした。(夫婦別姓自体も「違憲」ではないと言ってますが)

まぁ、半分予想していましたが、少し期待していた部分もあったので、少々もやもやが残ります。

世の中の理解が広がらないと制度を変えるのは難しく、国会で議論を、との判断なので、通称含めた別姓を選択する家族が自分たち(子供を含め)は別姓でも幸せだよーってことを示していくしかないのでしょうね。
(家族の幸せっぷりは、「主夫な八百屋の子育て日記①・②」をご覧ください)

15人中3人しかいない女性裁判官が全員別姓を認めない現行の法律は「違憲」と判断したのが唯一の救いですが、別姓で悩むのはどちらかというと女性なので、その女性の身の上を考える事柄で2割しか女性判事がいないというのは…とも思います。
http://www.asahi.com/articles/ASHDJ4S2VHDJUTIL023.html

(男女構成・年齢構成を日本の実態に合わせて判断してほしかったところです。それで行くと、国会での議論にゆだねるのもどうかと思ってしまいますが…)

結婚して片方の姓が変わるのが「当たり前」の中、「なぜ姓にこだわる」という方が多いかとも思いますが、ちょうど最高裁判決が出たというホットな状況につき、久々の長文となりますがぜひお付き合いいただければ幸いです。(身近な方で言い出す方もいるかもしれませんし。息子さんや娘さん、お孫さんとか)

(※本当に長文です)

我が家は結婚当初は、「別姓で、かつそれぞれ単独戸籍の事実婚」でした(※単独戸籍というのは、結婚を機に親の籍からそれぞれ分籍したのです)

女房が一人っ子であること、研究者として発表してきた論文が、姓が変わると名前での検索が難しくなり、キャリアの蓄積が途絶えること、そして単に「鈴木」だと字画が悪く、ありきたりな感じになるのでいやだ(笑)、ということで、籍を入れず「事実婚」でのスタートとしました。

逆に、女房の苗字に変えた自分の名前を想像したのですが、「誰??」ってな感じで、とても違和感があり、自分も変えたくないなと思ったのが大きな理由です。

自分が嫌なことを相手に無理強いしたくないなと。

「事実婚」は、事実上婚姻しているが籍を入れていない、といったニュアンスで、

一昔前の「内縁の…」、といった後ろ暗さはなく、単に別姓で通すために戸籍婚を選択しなかっただけであり、事実婚でも法律上も基本夫婦とみなされます(遺言書がないと相続等で課題があったりしますが)

住民票では続柄は「夫(未届け)」「妻(未届け)」といった表記になり、もろもろ「夫婦」として処理されます。

第1子のときに認知のために一度入籍(事実婚のままだと当時は非嫡出子扱いとなってしまったため 今は改善されたと思います)。

半年だか1年してペーパー離婚して、事実婚に戻りました。

第2子誕生時に再び入籍し、その後、土地の共同購入、自宅のローン申請、第3子誕生、私の独立とイベントごとが続き、戸籍婚のままの方が便利だったので、そのまま戸籍婚で通しています。

保育園では、「〇△ちゃんのお父さん」。

これはファミリーネームとして自然に受け取められるようになりましたが、
仕事上は「すず辰店主 鈴木辰徳」。

これは譲れず。いわゆる通称使用です。

運転免許は旧姓のまま、保健証は戸籍名。

個人事業主で仕事上は鈴木辰徳なのに、青色申告時は戸籍名で名字が変わります。(ややこしい…)

子供たちは、父の名前は「鈴木辰徳」だと普通に思っています。

せっかく息子が2人いるので、どちらかに「鈴木姓」を名乗らせようと今から誘っているのですが、その時その時で「いいよ」だったり、「やだ」だったり。(その際は、ペーパー離婚して、息子と2人で鈴木の戸籍を作り、事実婚に戻ります)

戸籍婚でも別れる人は別れますし、事実婚でも愛情あればまぁなるようになるとは思っています。

子供らにはそのうち、改めて「なぜ両親が違う姓を選んでいるのか」を話す機会を持ちますが、今のところ、「父だけ鈴木」ってことに違和感を持っていないようなのでよいかなと。

(息子の同意なく変える気はありません。小学校入学前がチャンスでしょうか。)

個人的には自分自身が姓が変わることに違和感を持ち、「鈴木辰徳」で世間的には通しているので、女房が変えたくない!、ってことはよくわかり、まぁいいかなと。

人とは違うことをやっていることは理解しているので、みなさん是非!、とは全然思いませんが、こんな夫婦、家族も良しとしてほしいなぁ、と思うのです。

あくまで「選択的夫婦別姓制度」であり、姓を一緒にするか、別にするかは選択制であり、大多数の方は今まで通り同一の姓にするかと思います。

実際、朝日新聞社が7、8両日に実施した全国世論調査(電話)によると、法律を改正し、同姓か別姓かを自由に選べるようにする選択的夫婦別姓制度に「賛成」は52%で、「反対」の34%を上回っています。
http://www.asahi.com/articles/ASHC97592HC9UZPS006.html

その一方、仮にいまから同姓か別姓かを選べるとしたら、どちらを選びたいと思うか尋ねると、全体では「夫婦で同じ名字」が78%、「夫婦で別々の名字」が11%となっており、年代によってもずい分反応が違います。

問題は、別々の姓を選択したくてもできないという点です。

先進国でいうと、別姓を選択できないのは日本くらいで、アメリカやヨーロッパ各国は「姓は選択できる」のが当り前になってきています。(欧米ではミドルネームという手もあります。)

自分の姓(生)を選択させてもらえるとうれしいです、って話です。

親と子供が違う姓になるのは子供がかわいそうだ、家族制度の崩壊になる、といった方もいらっしゃいますが、幼心に「そういうもん」だと思えばそんなに違和感はないんだなと我が子たちを見て思います。

実際、事実婚で通され、兄弟間で違う姓をつけたご家族では、子供たちはそれぞれの苗字で良しとしているみたいです。

小さいころから両親が同じ苗字が当たり前だった子が、急にどちらかの姓が変わるとある程度混乱するとは思います。

ただ何を「当たり前」と思うかどうかってだけの話で、「人によって当たり前が変わる」ってことをある程度の歳で学べば理解できることかとも思います。

家族内に愛情があるかどうかが第一で、姓が一緒かどうかはまた別の話やと思うのです。現状だって、子供が結婚して姓が変わっても親子は親子ですし、孫は孫です。

というわけで、我が家は別姓ですが、我ながらなかなかの幸せ家族だと思っています。

常連さんは、店頭での子供たちの様子や、週刊すず辰の「こぼれ話」等での家族の様子を読んでいただいていますが、いかがでしょうか。

ずい分長くなりました。

周りに「別姓」を言い出す方がいましたら、温かく見守っていただければ幸いです。

(覚悟を問う、という意味であえて反対するという手もありますが。実際我が父は当初大反対。今も少しは理解しつつ、納得はいってないと思います。これ読んだら怒るかな?)


【せっかくなので、結婚している男性の皆さんへ】
試しに奥さんの姓(苗字)に変えた名前を、声に出してフルネームでつぶやいてみてください。

もしかしたら、それが結婚した後のあなただったかもしれません。

その名前を聞いて、誰やそれ、とか、なんか気持ち悪いなと思ったら、そう思っている(いた)人が少なからずいるってことです。

気にならん人ももちろんいるでしょうけど。

最後にクルム伊達公子さんのお話を。
http://www.asahi.com/articles/ASHD863T5HD8UPQJ00V.html

(一部抜粋します)

『うちの両親は、嫁いだら姓も相手にきっちり合わせるという古風な考え方。私も小さい頃から、結婚相手の姓に変わるのが待ち遠しいと思っていました。区役所では「6カ月で考えて決めてください」と。クルムを選び、印鑑も「クルム公子」で作りました。「クルムさーん」と呼ばれることが新鮮でしたね。

でも、しばらくして寂しさがすごく湧いてきました。伊達公子の伊達がなくなる。名乗れなくなる。そのことに喪失感を感じたんです。自分でもびっくりしました。』

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