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灯を繋ぐ

新学期。
学校のスポーツテストの講評欄にはいつも、

「あなたには、自分自身が気づいていない隠れた運動能力があります」

と書かれていた。


隠れた…


どこかのスポーツテストの集計会社が書いた、文言である。


別に、出し惜しみしてるわけじゃないし…
むしろ、成績に関わるから精一杯やってるし…


私の走り方は、一生懸命走っているように見えないらしい。(失礼)

腕が振れていないから?
足の使い方が悪い?
遅すぎて自分で笑っちゃうから?

理由は不明である。



でも、そんな私が、
聖火ランナーとして走行することが決まった。


こんな名誉なこと!と恐れ多く思うきもち
一生に一度とないから楽しみたいきもち
この情勢の中大丈夫かな…と不安なきもち

私の中で、ごちゃ混ぜになっている。


昨年、延期が決まって、
もしかしたら、もう聖火ランナーとして走れないのかも…と思っていたので、
心の準備もままならぬまま、福島からリレーがスタートした。

これまで当たり前にできていた、人と人との交流がスムーズにできなくなり、
コロナによって見えてきた、上辺だけでない繋がり、やさしさ、絆。
不自由なことが増えた分、真のものが研ぎ澄まされたように感じる。


走ることを、よく思わない人がいることもよくわかっている。
でも私は、こんな運動神経の私は、
1日も早く、誰もが平穏に過ごせる時がくるように、
灯をつなぎ、希望の道を照らしていこうと思う。

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