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閃光のハサウェイ 感想 ~我々は11か月待ったのだ。~

※ネタバレを含みます。
※あくまで一個人の意見、解釈です。

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ 公開おめでとうございます。

当初の公開が去年の7月で、そこから幾度の公開延期を経て、ようやくの劇場上映ということで、劇場で観ることができて本当に嬉しかったです。

私とガンダム

感想を述べる前に私がどのレベルのガンダム好きかという話を簡単に。

ガンダムとの出会いは小学2年生。

友達の家でプレイしたPS2用ソフト、機動戦士ガンダム ガンダムVSZガンダムでした。このゲームを友達の家で暗くなるまでずっと遊んでいました。

その後初代ガンダムをTSUTAYAでレンタルし、順調にZ,ZZと進んで逆襲のシャアまで視聴しました。

同時にTOKYO MXの火曜日10時枠のアニメの神様にて放送していたガンダムSEED、SEEDDESTINYを視聴し、小学4年生で初のリアルタイム視聴作品のガンダム00が放送し、ドハマりしました。

そこからは時間を見つけてちびちびと視聴していき、他のアナザーガンダムやOVAシリーズを制覇していき、SDガンダムシリーズ以外の映像作品は全て視聴しました。

映像作品以外では、漫画クロスボーンガンダムシリーズは鋼鉄の7人まで読了。F91の関連スピンオフ漫画はだいたいのタイトルを読了。ガンダムセンチネルやゲームオリジナルエピソードのなどのいくつかをGジェネシリーズでクリアしました。

ガンプラは去年の自粛期間ではじめ、12,3体ほど作りました。墨入れとトップコートを吹く程度までしかやりませんが、何体かは全塗装を行ったりしました。

閃光のハサウェイの原作は昨年購入し、全巻読了しました。

映像化が発表された時は、原作を読まないでいて劇場で楽しもうと思っていたのですが、最初の公開延期が発表され、その目途も立ちそうになかったので、我慢できず全巻購入して読破しました。

ここまで書けばお分かりかと思いますが、私はそこそこガンダムにどっぷりな人生を送ってきたました。

簡単にといって長々と書いてしまってすみません。ガンダムのことになると早口になってしまうガンダムに魂を縛られた人間なものですので。

閃光のハサウェイ 感想

公開日の翌日である本日2021年6月12日にお台場で観てきました。

お台場で観たのは鑑賞後そのままガンダムベースでΞガンダムのキットを購入しようと思ったからです。

14時の回で席は7割ほどうまっていました。

昨年池袋グランドシネマサンシャインで劇場版ガンダム3部作を観に行ったときはスーツのおじさんしかいませんでしたが、閃ハサは若い年齢が多かった気がします。お台場という場所も関係していると思いますが。

さてここからは映画本編の感想を書いていこうと思います。

結論から先に言うと、”良い所もあるし、悪い所もある映画”といった感じです。

良い所はめちゃくちゃ良いです。ただここはもうちょっと頑張れといった箇所も多く存在します。

良い所

1、作画が凄い。

かなり作画は力を入れて作られているといった印象です。特に風景の描写とキャラクターの動かし方が素晴らしいです。

直近のガンダムNTと比べるとその差は歴然であり、ガンダムUCシリーズをも上回っているような気がします。

特に風景は過去のガンダムシリーズの中でも屈指だと思います。ハサウェイが街を歩くシーンや、マフティーの隠れ家などは、その絵ひとつで魅了されてしまうほどの美しい作画で描写されています。

マフティーの行動理念には地球環境の保全も含まれているので、美しい地球を描くことはこの作品とっては非常に重要です。なので、ここまで力を入れて描いてもらえるとマフティーの主張に説得力がつくと思います。

キャラクターの動かし方もなかなか良かったと思います。冒頭のハイジャックシーンで、ハサウェイが銃を撃つシーンで画面の後ろで同時にケネスが動いて後ろのハイジャック犯を取り押さえる動きがあったりと、カットを割らずに動かす手法はアニメというよりは実写映画的な人間の動かし方だと感じました。

性に関する描写も力を入れて描かれています。はっきりいってギギがめちゃくちゃエロいです。

原作でもそうですが、ギギの持つ性的な魅力や描写は物語上必要なので、不快に感じる方もいるかもしれませんが、エロいギギは次章でもどんどんやってほしいですね。

2、脱ガンダムを目指して制作されている

全体的にガンダムぽっさがないです。洋画的な演出が多いです。制作側も脱ガンダムを目指していたようで、ほぼその思惑通りといった感じです。

最近の宇宙世紀シリーズのガンダムはどうしても過去作品ファン向けのいわゆる接待が多く、コアなファンにターゲットを絞っている感じがありました。

閃ハサにUCのキャラクターやMSを出すことも設定上可能ですが、それをせずにあくまで原作に準拠し、しっとりとした作品にまとめあげたのは好感が持てます。

悪い所

1、必要な描写が足りていない

原作のシーンのカットは尺の都合上仕方ないとしても、描写として入れるべき部分が入っていない部分が多いです。

まず序盤のハウンゼン下船後のハサウェイとギギの会話のシーン。ギギがハサウェイがマフティーではないかと尋ねハサウェイが図星を突かれる会話の流れで、ハサウェイがギギからのこれ以上の詮索を避けるため言う台詞があります。

「時には言葉で人を殺すことがあるということを覚えていて欲しいな」

簡単にいえばべらべら喋るのはやめろとハサウェイが諭した台詞で、ギギが軽い女だとハサウェイに思われたことにショックを受けてやや大げさに弁解する流れです。

このシーンが本編ではハサウェイが台詞を喋っている手前にギギの後頭部があり、カットを割らずに台詞の直後からギギが首を振り始め、弁解する流れになります。

たぶんこの物語が初見の人からすると、このシーンはなんだかよくわからないシーンになってしまうと思います。

ハサウェイの顔のカットから台詞、カットしてギギの顔アップ、ギギのショックする顔、カットしてギギが体を反らしながら弁解するの方がまだわかりやすいと思います。

同じような描写不足として終盤のケネスとギギの会話シーン。

ここはケネスがギギの素性について尋ね答えて行くうちにハサウェイの名前が挙がり、ケネスがその流れでハサウェイが怪しいのではないかと疑い始める流れです。

原作ではケネスが指摘したギギの幸運についてハサウェイが気づいていないことをギギが考えて、思わずいった「そうかな」という台詞にケネスが気づいてそこからギギについて尋問するような描かれ方をしています。

本編だと特にケネスが口調を変えることもなく、前までの会話の流れでギギに質問しています。

ここはケネスの口調や表情は職務にあたるエリート軍人の鋭い表情や言い方をするべきです。

ケネスは連邦軍の中ではエリートですが、まだ青い部分も残しているキャラクターです。女性との会話や口説き方も未熟さが残る若さがありますが、職務となると一気にスイッチが入って、迅速な行動ができるキャラです。

本編の冒頭ではCAを口説く途中、窓の外にギャプランを発見し、すぐさま警戒する描写があります。

しかし、先に述べたシーンはケネスにスイッチが入っていないように感じました。

二つのシーンを例に出しましたが、他にも洋画風にまとめる割には映画として描写不足なシーンが多いです。なまじ作画が良い分余計にこういった部分が目立ってしまっている気がします。

演出的な描写不足とは別に物語的な描写不足もあります。

ここは尺の都合もあるのである程度は仕方ないですが、一つだけ超重要な要素がカットされています。

それが、連邦軍の腐敗が描かれていないということです。

マフティーが連邦政府にテロを敢行する目的は、地球環境の保全と、腐敗した連邦体制への反抗の二つです。

前者についてはしっかりと作画で描写されていますが、後者があまりが描かれていません。

原作では連邦がどういうヤバイことをしてどういうヤバイ時代になっているのかが書かれていますが、本作では不法移民をマンハンターが狩っていることと、連邦の閣僚が間抜けくらいしか描かれていません。

テロリストが主人公の作品ならば、我々観客からみてしっかりと連邦が腐敗しきって最悪なことになっている描写が必要です。

そのカウンターとしてケネスや父ブライトというキャラクターが存在しますが、ここの描写が不足してしまうと、ハサウェイの行動や葛藤が全く意味をなさないものになってしまいます。

ここについて次章以降に期待したいと思います。

2、ガンダムっぽさが無さすぎる

良い所で、脱ガンダムが良いといいましたが、逆にもうちょっとガンダムしてほしいなという部分もあります。

まず戦闘シーンのケレン味がないです。

リアルにこだわるのもいいですが、全体的に戦闘シーンがもっさりしていて爽快感がないです。

08小隊のように重量感をプッシュしてもいいのですが、閃ハサはほとんどすべて空中戦なので、少なくともf91の戦闘シーンくらいのスピード感は欲しかったです。せっかくMSの動きをCGにしたのですから、Ξとペーネロペーの目にもとまらぬ高速戦闘が観たかったです。

次に会話のテンポが遅いです。

普通の映画を目指すならこの速度で問題ないですが、富野節は畳みかけるような会話のテンポ感が一番生きるので、ゆっくりではその良さが殺されてしまっています。

終盤のハサウェイとレーンとの会話ももっと熱い感じにしてほしかったです。

会話はもっとペースアップして、その分間をしっかりとっていけばいい感じになるんじゃないかなと思います。

総評

ぐだぐだと細かいことを書きましたが、なんだかんだ良い作品だと思います。

なにより終盤のΞとペーネロペーの戦闘シーンで、2機のビームサーベルの鍔迫り合いの発光でΞの顔がわかるという一連のシーンがかっこよすぎて鳥肌がエグかったので、あのシーンだけでもう満足といった感じです。

そんな感じで次章以降も必ず劇場で鑑賞していきたいと思います。

ちなみに鑑賞後ガンダムベースにいったのですが、現在は土日の営業はしておらずΞのキットは買えませんでした。欲しかったけど、ご時世もあるので仕方ないですね。

ギギ、感想文は済んだよ、ギギ。










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