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僕はステーキにはなれない

私のバイト先は全員がアーティストだ。
そこは陰でアーティスト養成室と言われている。

一緒のシフトになった、絵描き兼バンドマン。
先日、誰もが知っている街のど真ん中にあるデパートで個展をやっていた。

どうだったかと感想を求めると「自分の手応えはあったのに、反応がイマイチだった。そして自分はお金のないアーティストなのに、観る人は富裕層の方ばかりでそこのギャップに苦しんだ」と言っていた。

そして「僕はステーキじゃないのにステーキを目指していた。僕はしめじなのに。どちらがいいとかはない。料理の仕方で最高の料理になる。それは毎日食べたいくらいに」

確かに、
高級なチョコレートより30円のブラックサンダーの方が美味しいと感じることも多いし。
高級な焼肉より、スーパーのお肉の方がいっぱい食べられることも多い。

でもたまに、お土産屋さんに売っている高級な梅を食べて「もうスーパーの梅には戻れない」なんていうことも多々ある。

最近は夏バテになって、濃厚なアイスクリームすら受け付けない。あまーいチョコのアイスを愛しているはずなのに。激安の氷みたいなアイスだけをたべたくなる。

私は人を幸せな気持ちにできるような料理をしたいと思った。


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