母と都知事選に行った話
7月5日、小雨が降る中、私は母と都知事選の投票へ向かった。
選挙権を得てから、初めての都知事選である。
選挙に行ったのは、1、2年前区議会議員選挙に行った以来だった。
道にある掲示板やテレビ、SNSを見て、都知事選があることも知っていたし、念頭にはあった。
でも日々の生活に追われて、3日前まで何も調べていない状況だった。
Instagramをフォローしている著名人達が、選挙権に行くことを広め始めて、その状況に危機感を持った。
「日曜日、都知事選行く?」
と母に聞いたら、驚いていた。
母は行かないつもりだったらしい。
候補者についてまとめている記事や、ラジオを聴いて、なんとか把握はできたけど、情報としては不十分だった。
まず政治についての知識が、あまりない状況で、候補者の公開質問への回答を読んでも、どの政策が今の東京都に対して正しいか、ピンとこない。
自分の中で、同性結婚が認められたり、コロナで困窮しているお店や人が、手厚い手当てを受けられる、"理想の東京都像"はあって、それを公約に掲げている人はいるけれど、それが実現できる事なのか、その人が実現できる人なのか、全くわからない。
結局そのモヤモヤを解消できないまま、
私は母と家をでた。
近くの老人ホーム。
区議会議員選挙の時に来た以来だ。
施設内に入ると、厳かな雰囲気が漂っていたので、すこし背筋を伸ばした。
投票用紙を受け取り、母とは少し離れた机で名前を書く。
たかが、投票。されど、投票。
紙ぺら一枚が重く感じた。
スムーズに人が流れるのを背後で感じながら、私は時間をかけて名前を書いた。
母は施設の外で待っていた。
「遅かったね」としか言われなかった。
空一面を灰色の重たい雲が覆っている。
次は、ちゃんと向き合おう。
権利を持つ者として、納得した投票をしよう。
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