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「命の絵画」をお寺にご奉納しました。大阪府河内長野市の地方創生と鬼伝説。

アーティストの内田すずめです。
この秋、お寺に絵を奉納させて頂く機会を頂戴しました。

描いたのは鬼の母子像です。

誰しもに母という存在が居ること、命と命が繋がってここまで来たこと。目には見えないことすべてを想像する心が、きっと相手を許し、手を取り合う第一歩になるはずだと感じて描いた一枚です。

「それぞれの正義」
紙、鉛筆、アクリル、パステル
2020年 檜尾山観心寺に奉納

さて、なぜ鬼だったのか。
「それぞれの正義」のそれぞれって誰なのか。
それを説明できればと思います。

時は令和。鬼伝説の残る大阪府河内長野市。ここで一発町おこしをしようじゃないか、とお祭りを企む人々がいました。その騒ぎの中で、では鬼の神様を守護している観心寺さんに絵をご奉納させて頂くのはどうだい、というお声がけを内田が頂戴したのです。

どんな鬼を描こう?と思い真っ先に湧いたのが「なぜ鬼は退治されなければいけないのか」という疑問でした。人間の生活があるように、鬼には鬼の生活があります。例え敵に見える相手でも、その人にも大切なものがある。当たり前のようで、鬼の立場になって改めて気付いたことでした。

その気付きを込め、タイトルを「それぞれの正義」とつけました。大きな樹洞は宇宙の胎内を表しています。その中に鬼の母子を住まわせました。桜には新しい生命への祝福を込めています。時代性をあえて排除するため色調は白黒にしました。鬼は昔から今までずっと日本人の周りに居続ける存在だからです。

今作は命の絵画です。私は、相容れない相手を退治するのではなく共存できる世界を望みます。タイトルの「それぞれの正義」の“それぞれ”は《鬼と人間》という関係にとどまらず、《日本と外国》《若者と年長者》《男性と女性》とも言い換えられます。国交問題、ジェネレーションギャップ、ジェンダー不平等など異なる存在の間に起こる摩擦は避けられません。時代と立場によってそれぞれの正義は変わるものです。難しい問題ですが、互いに相手を知り想像することが共存の第一歩と感じています。

この絵画は観心寺さんのもと、百年先・千年先の未来の人に見て頂けるかもしれません。人が人である限り、時代が変わっても変わらない真実があると私は信じています。

誰しもに母という存在が居ること、命と命が繋がってここまで来たこと。目には見えないことすべてを想像する心が、きっと相手を許し、手を取り合う第一歩になると感じています。

今回の絵画を起点に、河内長野市の沢山の方々と繋がることが出来ました。

令和の世、河内長野の人々の心をひとつにした鬼伝説。鬼グッズの製作や食事処での鬼メニューに始まり、市長が鬼でまちおこし条例を宣言、果ては映画「鬼ガール!!」まで作られました。主演の井頭愛海さん、優しくて演技が素敵なんですよ。鬼族末裔の高校生が自分らしく生きることを模索する物語なのですが、私は観てちょっと泣いてしまいました。

鬼の神様たち、この様子を見てくれてるかな。

私の絵画は、映画の舞台挨拶に瀧川元気監督が出られる際、一緒に全国の映画館を行脚させて頂く予定です。その後、観心寺さまで展示頂く予定ですので決まりましたらtwitterでお知らせさせて頂きますね。

最後に。制作の最中に映画監督の瀧川さんが取材してくださった動画です。自分が動く様子を見るのはなんとも気恥ずかしい。お時間ありましたらご覧くださいませ!

内田すずめ
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私は作品を通じて「生きながら生まれ変われる」ことを証明したいのです。そのためには「命のありか」と「心のありか」を解き明かさなければなりません。2020年は自分の子宮の音を録音する予定。いつか子宮コンサートを開きたい。頂いたサポートはそれらの研究費用とさせて頂きます!