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転勤に楽しさを見つけるのが上手い両親の話

24歳の時に夫と結婚して数年が経った。

夫は数年おきに転勤の可能性がある会社員だが、「転勤族の妻」になることには、全く抵抗がなかった。……というのも、私の実父が現役の転勤族で、その転勤生活を大いに楽しみまくっている姿を見てきたからである。

娘が言うのもなんだけれど、父は営業職だからなのか、性格なのか、すぐに誰かと打ち解けるのが上手い。

飲み屋で知り合いになっただの、行きつけのカフェの店員さん達がサプライズ誕生日会をしてくれただの、同じビルの別会社の人と仲良くなっただのはもう驚かないけれど、

父が当時赴任していた地域の復興アピール動画を再生した際、
地元の人達が一人一人カメラに向かってその地域の良いところを叫んでいく中、何故か生まれても育ってもいない父が地元の人さながらに熱く叫んでいる姿が映っていてさすがに吹き出した。

ここで暮らすからには……といって復興ボランティアに熱心だったこともあり、是非とも、と参加オファーがきたそうだ。

転勤の都度新たなコミュニティに積極的に飛び込んで、知り合いをどんどん増やしていく。そしてFBやインスタを使いこなして今まで作り上げた友人達に近況報告をする。それを全力で楽しんでいるのである。

そんな父を支える母は、
「転勤族は楽しんだもん勝ち。パパのおかげで色んな所に行けたって思ってる」
と言って笑っていた。

「転勤族大変だね」なんてよく言われるけれど、そんな両親がいるから「大変だけど、楽しいこと見つけてくるわ!」の精神でやっていこう、と思えるわけである。
私や弟のために単身赴任や長距離通勤が続いた時期もあり、父も母も本当に苦労した時があったはずだが、「何とかなるって!」と明るく背中を押してくれる事に感謝しかない。

これから先あと何回引っ越しするかは想像もつかないけれど、私も転勤を楽しみに変えられるような生き方をしていきたいと思うのだ。

(Short Noteエッセイ再掲です。手直し有)


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