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森会長の発言を聞いて思い出したこと

去年の春先に働いていた会社は一昔前に来てしまったかのような、男尊女卑思考が滲み出ていた会社だった。

社長は先代から受け継いだ会社を大きくした功労者として崇められその声は鶴の一声だった。

夫人はいつも3歩下がりいつも社長の様子を伺っていた。2人の役職者の息子は私より歳上にも関わらず社内で「ママ」と夫人を呼びつけていた。

身バレ防止の為に詳しくは言えないが、事務員の20代女性が私を含めて3人、あとは営業職の男性が10名程の小さな会社だった。

小さい会社をアットホームといえば聞こえは良いが、パワーバランスが傾きすぎた狭い場所での仕事は苦痛としか言えなかった。

「貴方みたいな人は若いうちに結婚して子育てで       もしていなさい」

私は失声症を患っている。自分でもどのタイミングで声が出なくなるのか分からない。
電話や来客対応する小間使いの女にとっては致命的な病気だった。


それでも雇ってもらった恩を返すという意味でも色々な呪いの言葉を飲み込んで仕事をしていた。

私は事務職として働く前はずっと販売の仕事をしていた。
大好きだったし、働きがいがあった。
可能ならずっと働きたかった。
ただ、シフト制で体調を崩す機会が多くなり泣く泣く離職した。

社長は「販売は誰でもできる、代わりは沢山いる。むしろ販売なんてロボットでも良いじゃないか。笑
これから君がやる仕事は代わりがいないんだ。
だから頑張りなさい。」

きっと励ましのつもりだったのだろう。
ただ、私はその言葉を今でも許せないでいる。
末端の売る人間がいるからこその商売じゃないか。
その発言を自分の取引先に言ってみろと何度も思った。


春先、コロナの打撃を受けすぎた会社から突然解雇された。鶴の一声だったそうだ。

馬鹿らしい、馬鹿らしい。
生きていても頑張ったって何も良いことはない。
解雇されるならあらゆる失言の数々を録音しておけば良かったと馬鹿なことさえ考えた。

きっとこんなことは氷山の一角で沢山の女性がレッテルを貼られた目で見られ同じような境遇に立ったことがあると思う。
それでもぐっと言葉を飲み込んで進んでいく。
その反面、数々の呪いの言葉に背を押され生きることを辞めてしまう人がいることも確かだ。


フェミニストだ!と声高々に言うつもりもないし全男性がこのような女性蔑視の発言をするとは一切思っていない。

ただ、なんとなく連日のニュースで掘り起こされ行き場の無くなったこの気持ちを書き記しておきたくて残すことにした。

言葉は凶器だということを忘れてはいけない。








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