【小説】#31 怪奇探偵 白澤探偵事務所|知らない縁日|閑話
翌日、事務所に戻ってきた白澤さんは見慣れたスーツに色付き眼鏡であった。少しくたびれた様子はあったが、両手にずっしりと重たい紙袋を下げて帰ってきたので少し驚く。
「お疲れ様です。おかえりなさい」
「ああ、ありがとう。お祭りはどうだった? 楽しめたかな?」
疲労が残っているのか、普段は自室ですぐに着替える白澤さんが上着を脱いで襟元を寛げる。部屋で休むより俺の話を聞きたいのか、そのままソファーに腰を下ろした。俺は受け取った紙袋をダイニングテーブルに置き、昨日のことを思い出す。