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ジャズとヒップホップの関係性について:読書録「文化系のためのヒップホップ入門2」

・文化系のためのヒップホップ入門2
著者:長谷川町蔵、大和田俊之
出版:アルテスパブリッシング(Kindle版)


2011年までのヒップホップの歴史をフォローした「1」に続いて、2012年〜2014年のヒップホップシーンを年毎に振り返った第2作。
すでに出版されている「3」では2015年〜2018年が同じようにフォローされています(購入済みw)。
「ヒップホップの歴史」書的な位置付けもあった「1」に比べると、「2」「3」は<今起きているシーン>を追いかけているような内容になっています。
これは元になっているのが毎年行われていた講義での対談をベースにしてるってことが一番大きいんですが、そもそもヒップホップそのものが「そう言うもの」(積み重ねよりも、その時その時が重視される)ってとこもありますかね。


<ヒップホップは何よりも同時代の雰囲気を反映している音楽なので、歴史に沿って定番のアルバムを聴いていくよりは、いま一番旬の、輝いている曲やアルバムを聴いた方が絶対良い。歴史的名盤の方は、今活躍しているラッパーがインタビューで影響を受けたとか話していたら、それをきっかけに聴いてみるくらいのスタンスで良いんじゃないかなと思います。>(長谷川)


こう言われちゃうと、こう言う本を読む意味がなくなっちゃう気がしなくもないんですけど…w。


本書が面白いのは、柳樂光隆さんを交えての対談が収められていて、ここで「ヒップホップとジャズ」の関係についていろいろ話してるあたり。
僕はジャズ・ファンク・ヒップホップって割とストレートな流れで捉えれるのかなと思ってたんですが(前作で大和田さんの指摘に頷けたのもあって)、実際にはそうでもなさそうな感じです。
ザクっといえば、
「流行ってるヒップホップに、ジャズサイドからのアプローチは何度もされてたけど、今ひとつピントこず。ただヒップホップ世代のジャズミュージシャンが出てくることで、そこら辺も変化が…」
ってとこでしょうか。
僕自身はマイルスの「doo-bop」や、Guruの「JAZZMATAZZ」、「The rebirth of cool」といったコンピなんかを楽しんでたので、ジャズサイドからのアプローチの方が印象に強くあったからってのもあるかもしれません。
まあ、JAZZMATAZZなんか、本書では「ロンドン系」で、スカしてる等、ケチョンケチョンなんですがw。
しかしまあ今改めて聞いてみると、確かに「ヌルい」かもしれませんねぇ。
嫌いじゃないんだけどなぁ。



読みながら紹介されているヒップホップのMVをYouTubeで見たりしてるんですが、本書で一番インパクトがあったのが、コレ。

いやぁ、「月曜日のたわわ」もぶっ飛ぶインパクトw。
フェミニズムに関してはいろいろな動きもありますが、マドンナ・ビヨンセから、こういうヒップホップ系の女性アーティストをどう言う風に位置付けるのかって、結構大きいと思います。
アメリカとかではそう言うのあるのかもしれないんですけど、あんまり日本じゃ見聞きしない気がするんですよね。
それだけ日米の音楽シーンが隔絶しちゃてるってことなのかもしれませんがw。



「3」を読むと、年代的には「アメリカ音楽の新しい地図」につながって、<今>に到着するって感じでしょうか?
1、2年したら「4」が出版されるかもしれませんが。
ただストリーミングが中心になって回転が速くなってる中で、「書籍」という媒体でこう言うのをフォローするのには限界も出てきてるのかもしれません。
ブログとか、それこそYouTube、ポッドキャストなのかな。マッチしてるのは。
日本向けのそう言うコンテンツがあるのかどうか、チョット分かんないですけどねぇ。
「3」を読んだら、探してみるかな?


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