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そういえば、性同一性障害特例法の改正はどうなってるのかな?:読書録「女の国会」

・女の国会
著者:新川帆立
出版:幻冬舎


お嬢と呼ばれる女性国会議員の朝沼が自殺をした。
性同一障害特例法改正で党派を越えて連携していた高月は、法案が廃案になることをめぐって、朝沼と前日に口論をしており、自殺の原因として疑われる
果たして、なぜ朝沼は自殺しなければならなかったのか。
国会議員、秘書、政治記者、地方議員
女たちが、政治の闇に踏み込んでいく…


「元彼の遺言状」「先祖探偵」の新川帆立さんの新作。
「政治」を舞台にしたミステリーになります。


ミステリーとしては、自分勝手でとても自殺なんかするとは思えない「お嬢」と言う議員の「自殺」の謎
そこに隠された陰謀
…てな感じの内容になります。
う〜ん、正直言ってこちらのほうはどうかなぁっていう感じもあります。
ありえないとはいけないんだけど、ちょっとリアリティーを外しているかも…。



一方で、作品としてのテーマは
「政治」の世界において苦闘している女性たち
と言う側面もあります。

セクハラが当然と言う風潮がある中で、何とか自分らしく歩こうとする女性たち
市民活動から政治の世界に踏み込んだ国会議員、その政策秘書、派閥を取材する政治記者、「お嬢」に見出され主婦から市議会に立候補した地方議員

思うようにならない中で、嫌な思いをしながらも何とか立っている彼女たちが、「お嬢」の自殺と言う事件に直面して、何らかの形で前に踏み出さざるを得ない状況になる。
ミステリーじゃない、こちらの方が読み応えはありましたね。
まぁ、ラストの展開あたりはややリアリティーと言う点では…ですが、それくらいの夢は見せてくれませんと。


読んだ後の爽快感と言う点ではもう少しスッキリさせる方法もあったかと思います。
でもまぁここら辺で留めておくのが作品としてはちょうど良いのかもしれません。
現実の政治の世界を見ればなおさらに…ですね。


そういえば性同一障害特例法の改正ってどうなったのかな?
政治資金法をめぐるゴタゴタで、どっかへ飛んじゃってるのかなあ
そういう現実が、この本のベースには、あるともいえますかね

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#女の国会
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