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時々、振り切られちゃうとこもあるけどw:読書録「アメリカ音楽の新しい地図」

・アメリカ音楽の新しい地図
著者:大和田俊之
出版:筑摩書房

「アメリカ音楽史」の大和田俊之さんの新著。
「アメリカ音楽史」が体系立って<アメリカ音楽>をフォローする著作だったのに対して、本作は連載をベースに、時事的な視点から<アメリカ音楽>を見ているので分かりやすい
…と思ってたら、必ずしもそんなことはなくw。
まあ、大体は興味深く読めたんですが、時々「論」の展開についていけず、振り切られちゃうところもありました。(一番「??」になったのは<ラナ・デル・レイ>論のパート)


<トランプ政権下でアメリカのカルチャー、とりわけ音楽文化はどのように変容するのだろうか。>
<本書はこうした問題意識のもと、主としてメインストリームのミュージシャンの活動を通して2010年代から20年代初頭のアメリカ社会の遷移を炙り出す。テイラー・スウィフト、ケンドリック・ラマー、ブルーノ・マーズ、カーディ・B、ラナ・デル・レイ、そしてチャンス・ザ・ラッパーなどの華々しい活躍はアメリカ社会のどのような変化を表し、いかなる兆候として捉えられるのだろうか。またアジアのアイドルグループ、BTSのアメリカでの成功はいかにして準備されたのだろうか>(まえがき)

<偶然とはいえ、2020年春に本格化するコロナ禍、5月末に再燃するブラック・ライヴズ・マター運動、11月の大統領選挙でのトランプの敗北、そして2021年1月のバイデン政権誕生を現地で見届けたことは本書のトーン(調)を決定づけたといえるだろう>(あとがき)


この時期のアメリカについては「分断」が最も特徴的なイシューだったと思いますが、その流れの中で、(もちろん色々な考えをミュージシャンたちは持ってるわけですが)メインストリームのミュージシャン、特に女性ミュージシャンが、「やむにや止まれず」リベラル寄りのスタンスを明らかにしていった…ってのが一つの流れとしてはありますかね。
ここら辺、「バイデン政権」誕生で、どういう揺り戻しがあるのかってのは、今後を考える上で興味深いところ。(現状はコロナ禍・ウクライナ進行で、反動的な流れは抑えられてる気がします)


ストリーミングが影響なんかは、ビルボードのランキング手法の変遷を論じた章が面白かったです。
「音楽のジャンル」でカテゴリーを分けるのではなく、「リスナーのコミュニティ」をランキングの基本に据えるところにビルボードの特徴があったんだけど、ストリーミングはそれを困難にしている…ってあたり。(もっとも新しい手法が考えられているようではあります。Spotifyの多様なプレイリストには、その萌芽を感じます)




しかし本書を読んで一番思ったのは、
「いやぁ、それにしても、ここら辺のメインストリームのミュージシャン、あんまりフォローしてないなぁ」。
いや、「聴いたことはある」んですけどね。
ただそこまで突っ込んでは追いかけてない印象。(ブルーノ・マーズくらいかな?)
ちょっとプレイリストを作って見たんですが、アルバム単位で聞いてるのはあんまりないな、と。



やっぱ「ヒップホップ」かな。
ここをもうちょっと勉強したいですね。
「文化系のためのヒップホップ入門」
読もうかなぁ…。



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