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後半、一気:読書録「ヨルガオ殺人事件」

・ヨルガオ殺人事件<上・下>
著者:アンソニー・ホロヴィッツ 訳:山田蘭
出版:創元推理文庫(Kindle版)

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「カササギ殺人事件」シリーズ第2弾。

「え?あの続きってありえんの?」

ってのが続編が出版されることを知っての驚きでしたが、読んでみたら、「なるほど〜」の出来。
さすがですわ。ホロヴィッツ。


「カササギ殺人事件」では上巻が「名探偵アティカス・ピュント」を主人公とする<作中作>、後半が編集者スーザン・ライランドが主人公として活躍する<現実パート>という構図だったのに対して、本作は<作中作>を中盤に入れて、<現実パート>がそれを挟むという構図になっています。


前半の<現実パート>の方は、カササギでの「めでたしめでたし」の<その後>となって、スーザンの「アイデンティティ・クライシス」が物語と並行して描かれます。
ここんところが個人的には「なんだかな〜」で、ちょっと読むスピードが落ちました。(ホロヴィッツは「読ませる」展開にはしてくれてるんですけどね)
それが<作中作>(「愚者の代償」)に入るとペースが上がり、「愚者の代償」の後半部分から始まる「下巻」になると一気…!
いやぁ、満足満足。


クリスティ・テイストの「作中作」の佇まい
それと対比するような(作中作の)作者「アラン・コンウェイ」のクソっぷりw
それにもかかわらずのアティカス・ピュントの水際だった名探偵ぶりと
それをなぞるようなスーザンの素人探偵としての活躍


<現実パート>と<作中作>の対比の中から躍動的な物語が立ち上がってくるのは「さすが」です。
パート2ものということで割引かなきゃいけませんが、個人的には「カササギ」よりこっちの方が好みです。


しかしシリーズ名が「カササギ殺人事件」シリーズ…ってのはどうですかね?
「ホーソーン&ホロヴィッツ」シリーズに倣って、「アティカス&スーザン」シリーズとかの方がいいんじゃないかと。
ただまあ、「仕掛け」が肝のシリーズだけに、果たして次の主人公がどうなるか…ってのもあるってことかな?


なんにせよ、このシリーズも続きが描かれるようです。
本作を読む限り、
「ウェルカム!」
ですな。


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