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同世代で「お笑い」に興味があった人は楽しめます。:読書録「明石家さんまヒストリー1 1955-1981」

・明石家さんまヒストリー1 1955-1981 「明石家さんまの誕生」
著者:エムカク
出版:新潮社(Kindle版)



僕は「明石家さんま」のひと世代下、「ダウンタウン」の同世代。
大阪在住期間があるんですが、不思議と彼らの「大阪時代」にはほとんど接してなくて、二組とも、東京で活躍し始めたあたりから楽しませてもらった感じです。
それでもアイドル的人気でブイブイ言わせてた大阪時代の情報もなんとなくは持ってるし、その雰囲気も肌感覚ではわかるので、その時代の「自信」を背に、恐ろしい勢いで彼らが「お笑い」を変えていくのを、大笑いしながら見てました。


本書は「明石家さんま」の熱烈なファンがまとめた「明石家さんま」の伝記本(の第1巻)。
出身の奈良時代から、「ひょうきん族」のレギュラースタートまでが取り上げられています。
作者ご自身はさんまさんと面識はお持ちのようですが、ほとんどの記述は、雑誌のインタビュー、著作、番組の中でのコメント等で構成されていて、個別にインタビューして聞いたコメントはほとんど含まれていません。
言ってみれば、「公式情報」(w)のみで構成された「伝記」。
それがここまで「笑える」ってのも…w。


「ひょうきん族」をきっかけに、BIG3(たけし、さんま、タモリ)を中心として「お笑い」の様相がドンドン変わっていった時代。
トンがったキャラクターで、とんでもなくレベルの高いフリートークを武器に、「お笑い」の純度をあげ、ある種のステータスを築き上げていったダウンタウンの時代。


思い返しても面白かったなぁ。(その結果、「大阪弁」はすっかり市民権を得てしまいましたw)
その前者の、少し前、「準備期間」が描かれるのが本書。
「公式情報」だから「どっかで聞いた」話がソコココに出てきます。
それでもやっぱり「笑える」。
もしかしたら他の世代の人が読んだらもっと「新鮮」なものがあるのかもしれませんが、僕はそんな風に楽しみました。


正直、今の「明石家さんま」や「ダウンタウン」が「お笑い」においてどうなのか、僕は知りません。
もうほとんど番組を見ることもないですし、それでいいのかな、と思ってますから。
「大阪時代」を背負って出てきて、東京で暴れ回る…なんてのも、この二組以降はいないんじゃないですかね。「ナインティナイン」も違うでしょ?
まあ、「大阪」がそういう力を失ったっていうのもあるのかもしれませんが…。


だから本書を、たとえば自分の子供に読ませようとは思いません。
そんな昔話聞くよりも、彼らには彼らの「ヒーロー」がいるでしょう。
それは「テレビ」じゃなくて、「YouTube」とか「ゲーム」「ネット」の世界なのかもしれませんが、それはそれで仕方ない話。


ただ僕と同世代で、テレビで「お笑い」を楽しんだ経験がある人にとっては、本書は無茶苦茶面白いと思います。
あの時代の、「お笑い」の勢いと熱気を思い出させてくれる「何か」が本書にはあります。


…と同時に、紳助が復帰をしようとしない気持ちも、なんとなく分かるかな?
「あんな面白い時代を、また経験できることはないやろ」
そんな気分なんじゃないかなぁ。
さんまや巨人との「友情」は、別にテレビに出なくても失われるものではないだけに。
ちょっと寂しいけどねw。


しかしここまでで「1」。
何冊になるんやろ、コレ。
全部付き合うかどうかはともかく、「ひょうきん族」以降の次の巻は、是非とも読ませていただきたいですなぁ。

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