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SF…だよね?:読書録「松岡まどか、起業します」

・松岡まどか、起業します AIスタートアップ戦記
著者: 安野貴博
出版: 早川書房(Kindle版)


先日の都知事選に出馬した安野貴博さんの小説第2作。
1作目(サーキット・スイッチャー)は応援のつもりで買ったんですが、普通に面白かったんですよねw。
で、2作目は「エンタメ小説家・安野貴博」に期待して購入。
うん。面白かったです。
(安野さんは都知事選出場を決める前に、この作品を書き上げていたようです)

<概要>Amazonより
日本有数の大企業・リクディード社のインターン生だった女子大生の松岡まどかは、突然内定の取り消しを言い渡される。さらに邪悪なスカウトに騙されて、1年以内に時価総額10億円の会社を起業で作らねばならず……!? 令和、AI時代のスタートアップ快進撃!



この女子大生をサポートする30代後半のビジネス・ウーマンの切れっぷりと、女子大生自身が個人的趣味で育てていた「AI」の<活躍>が個人的には「読みどころ」だったかな。
創業から怒涛の様に押し寄せてくる苦難の連続をしのいでいくあたりの臨場感は、安野さんご自身が起業経験あればこそ、でしょう。
とにかくエンタメ小説としてキッチリ仕上がっています。
前作もそうでしたが、「読みやすい」ってのも特徴かな。
2作目も一気に読み終えてしまいました。


ところで主人公が活用するAI
さすがにこれは「SF」ですよね?
高校時代から自分の身の回りに起きていることを録音して、文字化し、それをデータとして取り込んで、機能に合わせて複数のAIを育てて、AI同士を協業させながら活用する
までの事はできるようになってないでしょう。
ChatGPTとかCopilot とか、独自データを組み込むことができるようにはなっていますから、現時点においてその可能性はそれほど遠くはないとも思いますが、
まぁ、都知事選で安野さんが使っていた「AIあんの」なんかは近いイメージかな。
あれもここまではキャラクター付けできてないですけど。



今ある技術の少し先を想像して、それが社会にどういう影響を与えるかを描く。


安野さんのスタンスはそういうものなんだろうと思います。
前作における自動運転然り。本作のAI然り。
だから、こんなふうにAIと話し合う世界も、それほど先なことではないように思います。
それをディストピアとは描かないところが、これまた安野スタイル。
いいじゃないですか。


ただまぁどうですかね。
選挙に出て以降ずいぶん忙しくなってるようですから、第3作はすぐには出てこないかもしれませんね。
新しい作品を早く読みたいような気持ちもありますが、それ以上に現実の世界をどういう風にテクノロジーが変えていくのかを見せてくれるかもと言う期待もあります。
それこそ「SF」みたいなもんかもしれませんが。

#読書感想文
#松岡まどか起業します
#安野貴博

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