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法律エンタメって流行り?:ドラマ評「アンチヒーロー」

民放の連続ドラマを放送スケジュールに合わせて全話見たのは「VIVANT」以来ですかね。
過去編になる8話からは一気に見ようと思って控えていて、日曜日の放送が終わってから8 9 10まとめてみました。
充実感ありました。

繰り返されどんでん返し展開で見させられてきましたが、最終回はがっつりと法廷シーン(40分近くあるそうです)で悪役・伊達原との対決シーンがガチで描かれていました。
まぁ主人公の長谷川さんも相手役の野村萬斎さんもなかなかメリハリの利いた演技をされますがw、こういうシーンになるとその演技も映えますね。
そうでありながら、回想シーン、野村さんが目の前の現実に目を背けるシーンの演技は結構繊細で、それはそれで伊達原の弱さみたいなものを垣間見せられて唸らされました。

伊達原
<ある行為が正義になるか、悪になるかは見え方次第。
法律と言うのはねぇ。
その見え方のためにうまく利用するべきものなんだよ。
だから君もコレまで法を利用して来たんだろう。>


「虎に翼」でも、法律を絶対視することへの危険性が訴えられていましたが、それは1歩違えばこんな風にも捉えられてしまう。


明墨
<確かにあなたのおっしゃるとおり、この世の中はちっとも公平なんかじゃない
何の落ち度もなく命を奪われるものがいる
何年、何十年と悪事を隠し通し、富と権力を恣にするものがいる
こんな不平等な世の中で、誰もが気付かないうちに自分の物差しで人を裁き、罰を与えている
ときには二度と立ち直ることが出来ないくらい厳しい罰を
本当に恐ろしいことですが、これが現実です
だって
人は人を裁くことが「快感」ですからね>

<法律とは一体何なんでしょう
我々は法律によって白か黒かを公平に判断することが出来ます
ですがそれも所詮人間が作り上げた尺度です
法によって白になったことが本当に白なのか
黒の奥には実は限りない白が存在しているのではないか
それを考え続けることこそが、こんな世の中を作ってしまった我々の役割なのかもしれません>



いやぁ、このやりとりは何とも迫力がありました
その「正論」を、グレーな世界に1歩踏み込んだアンチヒーローである主人公が語るところがこのドラマの肝でもあるかと。
そこのところが理想を掲げながら、苦悩している寅子(虎に翼)との立ち位置の違いかな。
いやここから寅子がダークサイドに陥る可能性がないわけでもないけどw。


リアリティーという意味では、まぁいろいろありますが(あんなにバンバン裁判進まないでしょう)、最後まで実に楽しませてもらいました。
ドラマはやっぱり脚本だよね。
それがあればこそ、演技も生きてくる
つくづく痛感しました。


残された謎がないわけじゃないので、続編の可能性もゼロでは無いようですが、個人的にはここで収めておくほうがいいんじゃないかなと思います

安易に続編に頼らない

これも重要でしょう

#読書感想文
#アンチヒーロー
#長谷川博己
#野村萬斎

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