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これからの世界には「哲学」が必要だとは思ってます:読書録「世界史の針が巻き戻るとき」

・世界史の針が巻き戻るとき  「新しい実在論」は世界をどう見ているか
著者:マルクス・ガブリエル 訳:大野和基
出版:PHP新書

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「未来の分岐点」を読んだ時も、ガブリエルさんの言ってることチョット理解が…
だったんですが、本書は現実世界との関わりの中での持論の展開&インタビューということなので、分かりやすかも、と思って手に取ったんですが…
いや、ダメでしたw。
前半はまだしも、後半、特に「表象のどうたら、こうたら」のあたりから…。


現実世界に向き合い、良い世界となるように変えていこうというガブリエルさんの強い意志は十分に感じられるんですけどね。


グローバリズムとインターネットによって、人間が把握できる範疇を超えたところにまで行きつつある現状を、「実感」においてコントロールできるところまでどうやって引き戻すのか。


「世界史の針が巻き戻る」
ってのは、そこら辺の状況と方向性を指して、だと思います。
ま、端的に言えば、今の人間には「国民国家」という枠組みがギリギリのところで、それを超えて動くグローバリズム経済やGAFAのような巨大IT企業には無理があるし、だからこそ規制が必要…って感じ。


なんか「理想」を語れば、「え〜、今更国民国家って…」って感じもありますが、実情と実際を考えると、そこらへんしかあり得ないのではないか。
安易な相対主義やニヒリズムに陥ることなく、世界の多様性・多元性を認めつつ、「良き世界」に向かっていくためのバランス取れたスタンスを如何にとるべきかなのか?


ガブリエルさんが考えている「哲学」ってそういうもんなんじゃないかなぁ、と。
ちょっと「中庸」の考え方にも近いかな、とも思ったりしました。
もちろん現実世界とのせめぎ合いの中にはすり合わせや妥協も必要で、そこに「御用学者」的なリスクも潜んでいるとは思いますけどね。
そんなことはガブリエルさんは百も承知でしょう。


本書の中ではスティーブン・ビンガーの「21世紀の啓蒙」に対する批判的な見解が示されています。
「21世紀の啓蒙」、この1ヶ月くらい、ちょっとずつ読んでるんですけどねw。


確かに「現実世界」ととっくみあおうとしているガブリエルさんから見れば、「長期的に見れば世界は良くなっている」というビンガーさんの主張は歯痒いのかもしれません。
「長期的に見ればそうかもしれないが、長期的にはみんな死んでいる」
ま、そういうこと。
今、どん底にいる人に「長期的には世界は良くなってるから。あなたは救われないかもしれないけど」とは言えませんわな。


僕自身はビンガーさんのスタンスに近くて、
「長期的には世界は良くなる。そのために今できることをすべき。しっかりとやれば、今も良くなっていくはず」
と考えています。
ポイントは「今できることをする」ってこと。人間の可能性に失望しない…ってことかな。
まあ、追求すると、ガブリエルさんが言ってることも、ビンガーさんが言ってることも、同じことの裏表…って感じもします。


と言う訳で、良く理解できなかったので、「オススメ」とは言えない一冊w。
「今の哲学」の入門書にはなるかも(よう知らんけど)…ってな感じです。


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