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また歴史の影響を受けるのかもね:読書録「図書館巡礼」

・図書館巡礼 「限りなき知の館」への招待
著者:スチュアート・ケルズ 訳:小松佳代子
出版:早川書房

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<オーストラリアの作家で、書物取引の専門家でもあるスチュアート・ケルズは本書において、地元オーストラリアの部族に伝わる口誦の図書館から、メソポタミアやアレクサンドリアに存在した古代の大規模図書館、ヨーロッパに点在する中世の修道院図書館、そして近代以降に建設された大学の学術図書館や贅を尽くした権力者の図書館まで、時代を追って訪ね歩く。さらに、ボルヘスやエーコ、トールキンといった作家の紡いだ物語や、映画に登場する架空の図書館へと足を延ばし、実体をもたないデータの集積となった未来の図書館像までも考察する。>


内容としては、この「訳者あとがき」の通り。
「知識を集める」と言う「図書館」の歴史を時代順に追った構成になってるんですが、それらを体系だって説明すると言うよりは、そこにまつわる人物や事件の「エピソード」をくくり出しているって感じでしょうか。
「知ってて当然」といった感じで、最低限の紹介で次々に出てくる人物のほとんどが「知らない」んですがw、その物語としての面白さで読み進めてしまう、と言う作品です。


<ふんだんに盛り込まれた各図書館にまつわる逸話は彩り豊かで、小説を読んでるかのような趣さえある。>(訳者あとがき)

正に。
まあ半分以上は「どうしょうもないなぁ」って人物たちであり、時の流れは図書館たちにも書物たちにも決して優しくはないのですが…。


僕自身はあまり「図書館派」ではなくて、読む本は基本的に「購入する」ことにしています。
ただ「図書館」って言う<箱物>は好きなんですよねw。
それは学生時代もそうでしたし、今もそう言う傾向はあります。
「なんでかなぁ」とも思うんですが、本書を読むと「図書館というものを作り、維持しようとしてきた<人間>の情熱」みたいなものが滲み出るところが、僕の興味を引くのかな、と思ったりもします。
ちょっと歪んだ「情熱」だったりもするようですがw。


ウイルス対策で図書館の運営は、今はまた岐路に立っているのかもしれません。
映画の「ニューヨーク公立図書館」に見たような「地域のコミュニティのハブ」としての図書館のあり方は、今は大きく制限されているでしょう。
しかしまあ、遥か昔から、その「存在意義」は変化しながらも、「図書館」と言う存在は今に至るまで生き残ってるわけです。
なんらかの「変化」があったとしても、そのことに変わりはないだろうなぁ…と。


ま、早く普通に使えるようになるのが一番いいんですけどねw。


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