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家重と忠光に影響された人々:読書録「まいまいつぶろ 御庭番耳目抄」

まいまいつぶろ 御庭番耳目抄
著者:村木嵐
出版:幻冬舎(Kindle版)

号泣モノだった傑作「まいまいつぶろ」の続編といいますか、番外編といいますか。
吉宗の御庭番・万里の視点を絡めながら、徳川家重・大岡忠光の周りにいる人物たちが、2人の関係性にどのような思いを抱いていたかを描いた作品になります


・2人での静かな暮らしを願った吉宗の母(将軍の母)
・吉宗の右腕として改革を支えつつ、忠光の変貌を恐れ、家重の将軍就任に反対し続けた老中(背信の士)
・父を慕いつつも母との距離感が理解できない次期将軍(次の将軍)
・ただひたすら家重に寄り続ける忠光と共に歩んできたその妻(寵臣の妻)
・吉宗に引き立てられ、家重の成長を見てきた影の男(勝手隠密)



家重・忠光を応援するもの、行く末に危惧を持ち反対をするもの、そのあり方に戸惑うもの
…それぞれがそれぞれの思いを持ちながら、2人のことを見ていますが、やがてそのあり方を認めるようになる成り行きが描かれています
「号泣モノ」だった前作ほどのインパクトはありませんが、何度か目頭が熱くなった事はありました。


もう一つ、本作のテーマとしては
「吉宗が、家重を後継者として、早い段階から認めていた」
…っていうのはあるかもしれません。
いや前作も多分そういう事はあったんだと思うんですけど、何しろ家重・忠光の関係性の方が気になっちゃってたものでw
吉宗からすれば、自分自身がなしている改革は、自分の代では終わらない。
その改革を進めていき、完成させるためには、誰を後継者にするのがふさわしいのか。
本作では早い段階から吉宗が家重にその資質を見出していたことが示唆されています。
その吉宗の思いみたいなものが、本作には通底してるような気がするのです。
まぁ、ここら辺、家康の後継者がなぜ秀忠だったのか…あたりにも通じるところがあるようにも思いますけどね。


前作を読んでた人にとっては実に嬉しい続編。
いやぁ、まさか続編があると思わなかったので、望外の喜びでした。
ただ本作から読んでも何のことやらさっぱりわからないと思います。
そんな人いないかw。

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