しばらく放っていたTikTokを覗いてみるようになりましたw:読書録「#Z世代的価値観」
・#Z世代的価値観
著者:竹田ダニエル
出版:講談社
「世界と私のA to Z」の竹田ダニエルさんの新作。
エッセイ集…って感じでしょうか。
いくつかの記事はネットで見た覚えも。
妻が新聞の書評を見て、
「面白そう」
とのことだったので、今回はリアル本で購入しました。
「Z世代」に対する僕のスタンスや感じ方については前作の感想と大きくは変わらないですかね。
本作での作者のコメントで言えば、以下が大きなまとめになってると思います。(長いけど
引用させてもらいます)
<Z世代は「矛盾の世代」と言える。環境問題に配慮したいけど、ファストファッションブランドで買い物をする。資本主義には反対だけれど、毎日頑張ってる自分に「ご褒美」を買ってあげたくもある。多様なバックグラウンドを持つ人々が集まっている世代だからこそ、価値観も非常に多様で、一括りにすることは不可能だ。しかしその多様性の中でも、一貫して「もっと生きやすい世界になってほしい」という思いが強く存在しているように、私には感じられる。自分が生きやすい世界にしたいという気持ちは、今の社会が生きづらいことの裏返しであるとも捉えられる。「Z世代」は自分で簡単にコントロールできる「身の回りのこと」だけに集中しよう、という「丁寧な暮らし」や「自分のことだけをする」といった試みによって「個人の力で気分良く過ごす」だけではない。
どこから目を転じて大きなシステムの枠組みにまで疑いを持ち、なぜ自分の生活が豊かにならないのか、前の世代のように恩恵を受けるのが難しいのか、なぜ自分が好きなように生きられないのか、苦労をしなければならないのかを繰り返し問うてきた。だからこそ、その理由をZ世代は若い頃からどこかで悟っている。誰かが大いに徳をし、誰かが搾取される格差社会が悪化しており、根幹に後期資本主義の問題があるということを。
「大人に任せておけばいい」という時代は、もうすでに終わっている。自分たちの手で、「昔からそうだったから変わらない」という前提ごとを覆してしまう。どんどん「変化の前例」を作って行くことで、自分たちの手で腐った社会を少しずつ変えられることを証明している。我慢しておても誰の得にもならない、という「絶望」と「希望」を抱えながら、「生きているという手応え」を感じるために、彼らは行動しているのだ。>(P135,136)
本書にはミュージシャンのSIRUPとの対談も収められているんですが(ダニエルさんはSIRUPのサポートもしているそうです)、そこには「自分たちで変えていく」って意思が強く感じられました。
まあ、「多様性」なんで、いろんな考えを持ってる人がいるのは当たり前なんだけど、その中でダニエルさんは「変化」への前向きな動きを推したいと考えているし、それを実践している…ってことかな?
個人的には「キャンセルカルチャー」的な動きに対して懸念を強く持って来ているので、早急で強引な変化への取り組みに対しては不安感を感じてるんだけど、そういう取り組みをしていかざるを得ないほど、Z世代の危機感と焦燥は深い…ってことなのかも。
もっとも日本の「キャンセルカルチャー」の主体って、Z世代より上の世代に引っ張られてるところが多いような気もするんですけどねw。(それだけに「若さ」で片付けられない面がある)
エッセイなんで、本書は「Z世代」をめぐる色々な事象が紹介されていて、それだけでなかなか面白く、参考になりました。
「ストライキ」への捉え方とか、「TikTok」をめぐるあれやこれやとか。
だから
「Z世代は〜」
みたいな批判的・評論的立場から読むより、
「今時の子はどうなってんの〜」
みたいな興味本位で読む方が、結局はいいような気がします。
少なくとも僕はそういう感じで読ませてもらいました。
まあ、個人的には
<自分で簡単にコントロールできる「身の回りのこと」だけに集中しよう、という「丁寧な暮らし」や「自分のことだけをする」といった試みによって「個人の力で気分良く過ごす」>
ってライフスタイルにスライドしつつあるのが正直なところですがw。
ここら辺、世代格差…とか言ったら「逃げ」かな。
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