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知ることから始める:読書録「ガザとは何か」

・ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義  
著者: 岡 真理(早稲田大学教授)  
出版: 大和書房  

イスラエルのガザ攻撃があって、ここら辺の背景を知りたいなと思って読んだのが「イスラエル 人類史上最もやっかいな問題」。
ユダヤ人サイドからの見方ではありますが、決してイスラエル擁護ではなく、批判的視点も多く参考になったのですが、パレスチナからの見方も知りたいなと思っていました。
哲学者の永井玲衣さんの作品も読んだのを契機に、永井さんが参加する活動に絡んで本書を知りました。


23年10月7日のガザ攻撃開始を受け、10月20日に京都大学、23日に早稲田大学で行われた講演をまとめたものです。
攻撃直後の講演ですから、感情的にヒートアップしてる部分はあるとは思うのですが、全体的にはパレスティナサイドから見たバランスの取れた内容だと思います。
今になるまでイスラエルによる数の攻撃は継続されていますし、死者も37,000人を超えているというのが現状。
遣る瀬なさはさらに深まっています。


今回の攻撃前に書かれた「イスラエル」では、イスラエルとパレスチナの関係については、
「どちらも正しいが、どちらもほかに行くところがない。」
って感じでした。
歴史を遡ると、これはもうそう言うところに行かざるを得ず、立ち尽くしてしまいます。


本書の作者は、その歴史の複雑さは、認識をしながら、イスラエルが行っているパレスチナの不法占拠及びガザ封鎖、更にはそこで行われているアパルトヘイトとジェノサイドを指摘することで、一線を引こうとしています。
同時に国連の決議すら無視するイスラエルの姿勢を批判しない国際社会、そこにある「見ないようにする」ことによる消極的なイスラエル支持を強く批判します。
その結果が今日の事態を招いたのだと。


僕はまだ見ていないんですが、最近評判になってる映画に「関心領域」と言う作品がありますね。
アレは収容所のすぐ隣で平穏な生活を送るドイツ人一家の視点から、ホロコーストの悲劇を間接的に浮かび上がらせる手法をとっています。
そのことは同時に現代のガザで行われている人道的危機への無関心をも照らし出しているのかもしれません。
ホロコーストを経て建国されたイスラエルが生み出す人道的危機を、です。
そのことに「人間」と言うものの底知れぬ闇のようなものを感じます。
ホントになんでそんなことになっているのか…


ガザをめぐる情勢はon the way で動いています。
あまりに被害にイスラエルへの批難は強まっており、それはアメリカのユダヤ人にも広がっています。
イスラエル国内でもネタニヤフ首相への批判は強まっており、政権交代の可能性も否定できないようです。
その中で、一刻も早く戦闘が停止され、イスラエルにおけるパレスチナ人の人権が守られるような方向に動いていくこと願わずにはいられません。
そのために自分自身の目を塞がないこと、
まずはそのことを忘れないようにしなければなりません。


簡単なことじゃないんだけどね…

#読書感想文
#ガザとは何か
#パレスチナを知るための緊急講義  
#岡真里

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