戸籍って、不思議な制度ですねぇ:読書録「先祖探偵」
・先祖探偵
著者:新川帆立 ナレーター:安田愛実
出版:角川春樹事務所(audible版)
「元彼の遺言状」の新川帆立さんの新作。
…って、僕は「元彼の遺言状」しか読んでないんですけど。
割と面白かったんで、続編も…とも思ってたんですが、もうひと押しがなかったかな。よう知らんけどw。
本作は、母親に捨てられ、施設で育った女主人公が、戸籍などを辿って先祖を探る探偵をしつつ、自分の母親も探す…という連作短編集。
幽霊戸籍、棄児戸籍、焼失戸籍、無戸籍
…と色々な事情で戸籍がなくなたっり、わからなくなったりした先祖のことを追いかけ、そこにあるドラマや事件が<今>に影響している有様を描いています。
これがなかなか読ませる。
「戸籍って、こういうもんかぁ」
とちょっと感心もさせられます。
(「戸籍制度」に対する賛否のような思想性はほとんど感じませんが)
最終話ではついに主人公の両親のことがわかります。
なぜ母親は彼女を捨てたのか?
「棄民戸籍」という、歴史の向こう側を覗くような<不都合な事実>が胸を打ちます。
主人公の幸せを望んで辛い決断をした母親の人生に、いくばくかの幸せがあったことを祈らずにはいられないくらい。
続編はあるのかな?
母親のことは明らかになったけど、まだ父親との<決着>はついてないですからね。
あるかもしれない。
ただまあ、一方で<戸籍>をめぐるネタがそんなにあるのかとも。
ま、ここら辺は弁護士さんでもある作者さん次第かな。
もうちょい読んでみたい(聞いてみたい)気もするんですよね。