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ピックアップされてる映画はホボホボ観てる僕はどっぷり<欲望>まみれ?w:読書感想文「世界サブカルチャー史 欲望の系譜」

・世界サブカルチャー史 欲望の系譜 アメリカ70-90s「超大国」の憂鬱
編者:丸山俊一 NHK「世界サブカルチャー史」制作班
出版:祥伝社

この番組、知人がFBで紹介してるのを見て、NHKオンデマンドをチェックしたんですが、今のところオンデマンドの対象になってないような…。
で、書籍の方を購入してみました。
番組は「50年代」「60年代」もあるようですが、本書は「70年代」「80年代」「90年代」を対象としています。


基本的な構図としては、
「政治・経済的には<空白の時代>と言われる<70年代>だが、サブカルチャーの視点から見ると、<70年代>にこそ、その後の歴史に影響を与える要素が生まれており、保守反動の<80年代>、ポストの時代の<90年代>はその延長線上に見ることができる」
って感じでしょうか。
<時代>は<サブカルチャー>に影響を与え、<サブカルチャー>は<人>や<時代>に影響を与える。
その<サブカルチャー>として、本書(本番組)は「映画」にスポットを当てています。


僕は65年生まれなので、<サブカルチャー>の影響という意味では「80年代」「90年代」の影響が一番大きいと思います。
リアルタイムで見た映画…という意味ではそれは間違いないんですが、80年代後半の「レンタルビデオ」の隆盛で、80年代以前の映画もかなり見ています。(「映画好き」だったてのもありますが)
なので、本書で取り上げられている映画の8割以上は見たことがある作品になってましたw。



主張的には、
「まあ、そうだろうな」
と思う流れになっています。
「タクシードライバー」や「ディアハンター」を白人労働者層の苦悩や社会への違和感の表現として捉えるというのは確かに。
そのことが80年代の保守反動につながり、90年代の新自由主義の浸透を経て、今の「分断」の時代にまで続いているというのは、振り返ると「なるほど、そうかも」。
その作品が「黒人」に焦点を当ててないってあたり(ベトナム戦争への出兵は黒人が多かったはず、BLMにもリーチする視点かもしれません。
「歴史を見直す/改変する」機能として<ノスタルジー>をあげ、「アメリカン・グラフティ」や「バック・トゥ・ザ・フューチャー」にその傾向を見るあたりもナカナカ興味深いです。
自分が見てきた映画たちを、社会や思想の流れの中に再確認するというのは、興味深く、刺激もされる経験です。
いやぁ〜、これは映像で見たいわw。



「映画なんだから、楽しめばいいじゃん」
ってのは、一方であります。
僕個人は「公開されている映画は楽しむのが第一」という立場です。
「トップガン:マーベリック」
そりゃ確かに「敵基地先制攻撃」の是非を言い始めたらキリがない。
ただ楽しんだ後、それをどう言う風に社会的・歴史的な位置づけとして考えるか…というのは別の話。
(サブ)カルチャーの意義を考えるのであれば、そういう知的作業があって然るべき…とも僕は思います。
本書(本番組)の意義はそこらへんあるんじゃないか、と。


「欲望の資本主義」を制作したスタッフなので、現代思想的なアプローチも本書ではされていて、そこんところ、ナカナカ読み飛ばし辛かったりもしますw。
これ、番組でもやったのかしらん?


そのうちNHKオンデマンドの対象になるかな〜。
その時は是非見てみたいと思います。
(再放送の録画…ってのもあるんですが、面倒でw)


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