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軽々しく「感想」を書くものでもないかなぁ:読書録「上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!」

・上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!
著者:上野千鶴子、田房永子
出版:大和書房

ここのところ、「女性」にスポットを当てた本を読む機会がなんとなく増えてるんですよね。
いちばんの理由は「中学1年生の娘がいる」ってのが背景でしょうが、「#MeToo」「#KuToo」の運動やら、「ハラスメント」に関する動きとか、「働き方改革」の流れの中で、「日本の女性」の<あり様>が変わってきてる気がして、そこを追いかけて…ってのもあると思います。


でまあ、このタイミングで改めて「フェミニズム」について勉強してみようかなぁ、と。
そうなるとこの方になりますね。
上野千鶴子さんw。


本書は日本のフェミニズム運動を引っ張ってきた上野さんに、現在子育て中で、女性活動・フェミニズムについて強い興味を覚えている田房永子さん(漫画家)が質問する対談本となっています。
対談形式だから読みやすくてわかりやすい…ってことはなくて、戦後日本の歴史や、世界のフェミニズムの動き、日本独自での女性運動の流れやあり方について、一定程度の事前知識がないと、振り落とされる感じがあります。


あとまあ、「男」は厳しい。
日本におけるフェミニズムの流れ、そこでの課題認識、現状etc,etc
それらを軽々しく「分かる」とは言えないところがあるんですよね、この話には。
だからって拒否反応を前面に出して、背を向けるってのも違うと思うし…。


先に読んだ妻が、
「これは軽々しく感想とか書けないよ」
って忠告してくれたんですが、その通りやなぁ…と。

<私がフェミニストになった理由はね、私怨よ>

と言い切る上野さんの「潔さ」には感服しますがねw。


それでも敢えてコメントするなら、こんな点。
①フェミニズムの持つ「ファイティング・ポーズ」の姿勢は相手だけじゃなくて、女性にも敬遠される要素になってるんじゃないか?
②(上野さんも自覚しているけど)次の世代に、前の世代が闘った成果や記憶が伝わっていないのは、運動のあり方そのものに課題があるんじゃないか?
③一方で確実に「セクハラ」や「女性の人権」について前進が見られる。これはフェミニズム運動の成果の表れでもあろうかと思う。
④(フェミニズムに限らず、政治・社会運動全般に通じることだけど)ネットやスマホによって情報の拡散範囲や速度が格段に上がっている中で、活動のあり方をどうアップデートしていくのかがポイントじゃないか?


もっともコレは「外野」の感想。
外野=男性の方には、自分たちが抱えているものを、どういう風に捉え直し、次世代に伝えていくべきか、考えていく責務がある。
その時、フェミニズムの側から照らし出される「違う視線からの社会の姿」が、自分たちの考えや活動に反映していく…僕がフェミニズムについて考えるのは、そういう事だと思っています。
「フェミニズム」を自分ごとには出来ないけど、「フェミニズム」が照らし出すもの/ことは自分ごととして捉えていくべき…って感じかなぁ。


安易なオモネリは、上野さんも良しとはしないでしょうからねw。


まあ、なかなか刺激的な本でした。
スゲェこういうのを嫌う人がいるのも分からんでもないですがねぇ。


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