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題名ほどBBCが正道を歩み続けてる訳ではないんですが:読書録「なぜBBCだけが伝えられるのか」

・なぜBBCだけが伝えられるのか   民意、戦争、王室からジャニーズまで  
著者:小林恭子  
出版:光文社新書(Kindle版)

ネットの広告記事か何かで「ジャニーズの闇を暴いたBBC」みたいなノリで宣伝されてたんですけれども、ジャニーズ関連の記事に関するパートは数ページ。
おいおい誇大広告じゃねーの…って感じではありますが、結構面白かったです。
読んで良かったと思いますよ。


内容としては、BBCができて、100年。
その歴史を丁寧に追いかけた作品と言うことになります。
まぁ丁寧すぎて「いやそこら辺は別にそんなに教えてもらえなくても」ってところもなきにしもあらずなんですが、新書でコンパクトにこう言うことを教えてくれるというのはありがたいなと思います。


<目次>
はじめに
第1章 「放送の世紀」の幕開け
第2章 戦争の過程としてのメディア
第3章 消費ブームにテレビは
第4章 不和と対立の時代
第5章 SNS時代のジャーナリズム
第6章  国民と王室の絆
第7章   ポスト放送の世紀へ
公的視点だからこそできること
おわりに



日本人として僕が読むと言うと、どうしてもNHKとの比較と言うことになるでしょう。
同じ公共放送ですかね。
まぁ題名はなんですが、読んでみるとBBCもNHK同様、いろいろ紆余曲折があり、その中では、政府との関係や王室の関係や、スキャンダルやら、誤報やら、まぁいろいろあります。
受信料のことが槍玉に上がるっていうのも同じでしょうか。
なんか日本の場合は、立花孝志さんのおかげで、逆にNHKの受信料問題が後退したような気がしなくもないんですけどw、BBCのほうは目の前に更新期間が控えているので、なかなかホットな話題ではあるようです。
僕個人は製作番組の質を維持すると言う意味において、NHKの受信料に関しては賛成派なんですけれども、ネット放送とかが進展する中で、サブスクリプションの問題が出てくるのは、これもまた当然とは言えるでしょう。
そこら辺がどういう風に着地するかっていうのを見ていく上において、BBCの動向っていうのは1つの参考になるのは間違いないと思われます。


ジャニーズ問題に関しては、BBCだから切り込めたっていうのは確かにあります。
ただ「BBCだから」と言うのは、その前にBBC自身が「ジミー・サヴィル」で苦い経験をしていたからこそであり、あまり褒められた話ではないと言う側面もあります。
まぁ、「外圧に弱い日本」と言う別の意味での情けない側面は、日本にはあると言えばあるとは思いますけど。


現実問題において「不偏不党」と言うのはなかなか難しいものだと思います。
はっきり言ってしまえば、人間である以上、そんなことができるはずはない。
だけれども、それを考えることにこそ意味があるとも言えるでしょう。
「理想」ってそういうもんでしょう。
だから、この点では、BBCにもNHKにも頑張って欲しい。


…時々なんだかなぁって気分になることもある事はあるんですけどね。

#読書感想文
#なぜBBCだけが伝えられるのか
#小林恭子

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