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生成AIはもっと遠くまで連れて行ってくれるかも:読書録「わたしのeyePhone」

・わたしのeyePhone
著者:三宮麻由子
出版:早川書房(Kindle版)

幼少期に視力を失った三宮麻由子さんが、自身の日常生活とiPhoneとの関わりを綴ったエッセイ。
この本では、スマートフォンがどのように彼女の「目」として機能し、日常生活を支えているかが描かれています。
特に、iPhoneがテキストを読み上げてくれたり、自由に買い物ができるようにサポートしてくれたりすることが強調されています
朝日新聞の書評で見かけて、
「スマホ、万歳!」
って本は珍しいなw、と思って読んでみることにしました。(まあ「万歳」ばっかじゃないんですけどねw)


スティーブ・ジョブズはパソコンを「心の自転車」と表現しました。
ジョブズの比喩の意図は、人間の思考や作業効率を劇的に向上させるツールとしてのポテンシャルを表現したかったんでしょうが、スマホもまた人間の能力を補完し伸ばしていくものだと言うふうに僕は考えています。
まぁ自転車よりはバイクみたいなものになってるのかもしれませんけどw。
それなのに特に日本ではスマホに対する脅威論と言うのも少なくない。
スマートフォン依存やSNS上でのトラブル、子供たちの使用時間の問題など…
これらの問題は、スマートフォンの過度な使用や不適切な使用によるものであり、ツールそのものの価値を否定するものではないんですけどね。
今後生成AIが広がってくる中で、ここら辺は結構ネックになるんじゃないかと僕は思っています。
朝日新聞でこの本の書評を読んだときにスマホをマイナスイメージではなく、プラスイメージですごく捉えてるって言うことが興味深く覚えたんです。


まぁもちろんマイナス面もあるかもしれません。
生成AIなんかは翻訳面でもかなり進歩していますから、翻訳を仕事にしている三宮さんの仕事への影響は少なからずあるかも。
でもGoogleやOpenAIが発表した新しいシステムでは、AIがビデオ機能を持つことで、視覚障害者の生活をさらに支援する可能性を見せてくれていました。
例えば、AIがカメラを通じて周囲の情報を認識し、視覚的な説明を提供することで、視覚障害者の自立した行動をサポートするシーンが映されていました。
あれなんか、明らかに三宮さんが欲しい機能ですよね。


ジョブズがiPhoneの最初から「ボイスオーヴァー機能」を実装したように、Appleは身障者も含めた多くの人がスマホを使ってQOLを上げて行くことをサポートする姿勢を一貫して見せています。
iOS18についても先んじてそういう機能をオープンにしていますしね。
「心の自転車」から「体の代替」に能力を広げていると言ってもいいかもしれません。
そして生成AIは更にその可能性を前に進めてくれるはずです。
そういうタイミングに「今」はあると思います。


今のところ僕自身は健康で作者のような支援を必要とはしていません。
でもまぁ歳はとってきてますからね。
実際目は悪くなってきてますし。
そういう意味ではこういう機能のお世話になることがあるかもしれない。(音声入力やオーディオブックを積極的に使ってるのには、そういう意図もあります)
母なんかはそういう歳にもなっていますしねぇ。
だからこういうことに対する情報も広く入手しておきたいっていうのもあります…


根拠の薄いテクノフィビアは今後の日本社会においてはリスキーな要素になると思います。
テクノロジーは決してマイノリティの「敵」ではないのだ
そのことを再確認できた作品でした。


#読書感想文
#わたしのeyePhone
#三宮麻由子

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