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書記が数学やるだけ#806 デルタ関数の性質(物理向け)

物理のさまざまな分野で用いるデルタ関数について,グリーン関数を考える上で頻用するためここで確認しておく。


問題


説明

デルタ関数の厳密な定義には超関数の知識を要するが,ここでは「ある一点で無限大,それ以外で0となる関数」とみなして十分である。これは物理学において,ある一点に荷重をかけたときの変位や,点電荷などを表現する際に便利である。


デルタ関数の積分はヘビサイド関数(階段関数)である。


デルタ関数を初等的に表す方法はいくつかあり,今回はsinc関数による近似を扱ってみる。



以前に,sinc関数は波束を表すために用いた:


また,以前に示したディリクレ核は周期的デルタ関数と見なすこともできる:


解答

デルタ関数の性質である積分値が1であることが,問題のsinc関数でも成り立つことを示す,ここでディリクレ積分は既知とした。


次に示す等式により,デルタ関数のフーリエ変換が1であることが示せる。この関係は,グリーン関数を考える上で何度も用いることとなる。


ここからはデルタ関数の性質をいくつか示していく。まずは偶関数であること,これからグリーン関数の相反性を示すことができる。


定数倍について。


平行移動についての公式と,それを用いた関係式をまとめて示す。


最後にデルタ関数の微分について。


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