マガジンのカバー画像

書記の読書記録まとめ

1,280
今までに読んだ本についてのレビュー。 ブクログ:https://booklog.jp/users/9512a62a15b04973
運営しているクリエイター

2020年12月の記事一覧

書記の読書記録#59「音楽のリズム」

M.リュシー著「音楽のリズム」のレビューと読書記録 本書はM.リュシー「音楽のリズム」をもとに,要約者E.ドゥトワ,編集者にE.フォールス翻訳者に飯島かほる,監修者に稲森訓敏により出来ている。 レビュー西洋音楽における三要素として,一般に音楽は「リズム」「メロディー」「ハーモニー」の三要素からなると考えられている。 リズムの理論として,リュシーメソッドというものがある。リズムやアクセントにも種類があり,それらをうまく使うことで演奏効果が出るのだろう。 本書では,リュシ

書記の読書記録#58「初心者でもしっかりわかる 図解ネットワーク技術」

網野衛二「初心者でもしっかりわかる 図解ネットワーク技術」のレビューと読書記録 レビュー3分間NetWorkingで有名な著者が,新しくネットワーク技術の基本事項について書籍化したといったもの(元は日経NETWORKの連載記事)。 写真は裏表紙より。ネットワークにまつわる基本事項について広く収集できる本である。全くの初心者には量が多いかもしれないが,何回でも読み返すタイプの本だと思うのであまり問題はないだろう。 読書記録# 1p2〜31 ・ネットワークモデル,階層化:O

書記の読書記録#57「リア王」

シェイクスピア「リア王」のレビュー 訳は松岡 和子のものを読んだ。 レビュー悲劇という表現はある種の文学的なラベルであって,歴史を俯瞰する時によくある,王位継承と権力闘争の過程が本作の流れとして見えてくる。ほんのわずかな計算違いが個人にとっては命取りになる世界だ。現代なら爆撃機で吹き飛ばされかねない世界だが,シェイクスピアの戯曲では人命の変質が丁寧に拾われる。 リア王は最後まで王として,それが継承されることなく死んだ。すべてを捨てて裸になろうが気がどこへ行こうが,王は王

書記の読書記録#55-2 「パターソン&ヘネシーコンピュータの構成と設計(下)」

「パターソン&ヘネシーコンピュータの構成と設計(下)」のレビューと読書記録 レビュー下巻の内容は,事前知識としての付録と,第5章がメモリについて,第6章がマルチプロセッサについて。上巻ほど重要ではないと思うが,いずれも知っておくに越したことはない内容である。 論理回路等のパーツについての基礎知識をある程度習熟したのちに,再度第4章に臨みたいところ。 読書記録# 1p下362〜441 ・局所性:時間的,空間的・ヒット率・メモリ:SRAM,DRAM~ ,フラッシュメモリ,

書記の読書記録#56「長くつ下のピッピ(3部作)」

A.リンドグレーン「長くつ下のピッピ(3部作)」のレビュー 菱木 晃子訳,岩波文庫の新訳で読んだ。 レビュー(ネタバレあり)「長くつ下のピッピ」 1945年スウェーデンでの作品,ピッピについて,「世界一つよい女の子」でその「楽」に全振りする様子から「天衣無縫」と評されることも少なくない。彼女の見る世界は,現代社会よりも遥かに広々としていて発見に満ちている。子どもの憧れそのものともいえる。 「ピッピ 船にのる」 ピッピの父親がやってくるのだが,まあこの親にしてこの子

書記の読書記録#55-1 「パターソン&ヘネシーコンピュータの構成と設計(上)」

「パターソン&ヘネシーコンピュータの構成と設計(上)」のレビューと読書記録 まとめ2章は「命令」の基本事項,3章は「算術演算」について。 ・コンピュータでの演算 ・プログラム内蔵方式の概念 ・命令の表現,MIPSアセンブリ言語命令 ・条件分岐 ・スタックの割り当て ・アドレシング方式 ・コンパイラ→アセンブラ→リンカ→ローダ 4章が最大の山場,「プロセッサ」を組み立てていく。 ・MIPS命令の実装方式の概念:命令メモリ,レジスタ,データメモリ,プログラムカウンタ,加算器,

書記の読書記録#54「君は永遠にそいつらより若い」

津村記久子「君は永遠にそいつらより若い」のレビュー レビュー思いの外世間の評価は高いようだ。近日映画化するというのも話題(なんか一部モチーフが誇張されそうな雰囲気,原作における日常の濃度は再現されるのだろうか)。 このルサンチマンというのか,こじれ具合に共感するのか?文章が長ったるいしモチーフは散逸しているしで,読むのが面倒で苦痛だった。カタカナの多用も特に効果的には感じなかった。いかにも文学をやろうといった感じ。 しかし,この段階で既に現実に対する無常感を与えうるとこ

書記の読書記録#53 「オブジェクト指向のこころ」(まとめノート)

A.シャロウェイ+J.R.トロット「オブジェクト指向のこころ」のレビューと読書記録とまとめノート レビュープログラムにおける,デザインパターンとオブジェクト指向を結びつける本。「リーダブルコード」とかと並行して読むとより目的意識がもてるのでは。 オブジェクト指向とは何なのかというよりかは,オブジェクト指向がどのように適用できるかを知るための本だと思う。なので基本用語については知っている前提と見たほうがよい(1,2章に説明はある)。 各論については,文章が冗長なのが欠点(

書記の読書記録#52「体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方」

徳丸浩「体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方」のレビューと読書記録 レビューいわゆる「徳丸本」で,Webアプリケーションを作るには必須レベルの教本に位置付けられていると思われる。 実習環境としてFirefox(拡張FoxyProxy-Standard)やVirtualBox,無償ツールのOWASP ZAPを用いて,実際に脆弱性が分かるような構成になっている。 中でもWebアプリケーションの脆弱性(4章)に多くのページが割かれており,著者の本気度が伺える(?

書記の読書記録#51 津村記久子「ポトスライムの舟」

津村記久子「ポトスライムの舟」のレビューと読書記録 レビュー「ポトスライムの舟」は第140回芥川賞受賞作である。近辺の受賞作と比較して,文章表現は平易であるが,いたるところに仕掛けとなる描写が散在しており効果的(冒頭のポスターとか)。語りは三人称風でクセになる距離感だった。いかにも技巧的には優等生的な作品で,逸脱のない安定したものだと感じた。ただあえて言うなら,「舟」の姿をもっと見たかった,それこそ逸脱のターニングポイントだと思っていたので。 読み終わってみて,現代版「蟹

書記の読書記録#50-2「プログラミング入門 CASL2」(まとめノート後半)

内容まとめ・フラグレジスタ:オーバーフローフラグ,サインフラグ,ゼロフラグ ・比較命令:CPL命令,CPA命令 ・条件分岐命令:JZE,JMI,JNZ,JZE,JOV,JUMP ・繰り返し処理:後判定,前判定 ・副プログラム:CALL命令 ・プログラムレジスタ ・スタック:PUSH命令,POP命令,RPUSH命令,RPOP命令 まとめノート 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#50-1「プログラミング入門 CASL2」(まとめノート前半)

内容まとめ・レジスタ:LAD命令 ・主記憶:ST命令,DS命令 ・値の読み込み:LD命令,DC命令 ・命令の種類:機械語命令,アセンブラ命令,マクロ命令 ・指標アドレス指定 ・文字列処理:IN命令,OUT命令 ・リテラル ・論理加減:ADDL命令,SUBL命令 ・符号付き数値の演算, ・算術加減:ADDA命令,SUBA命令 ・論理演算:AND命令,OR命令,XOR命令 ・チェックサム,パリティ ・シフト:SLL命令,SRL命令,SLA命令,SRA命令

書記の読書記録#49「地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」」

細谷功「地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」」のレビューと読書記録 レビュー2007年に販売された本で,今なお支持されているものと想定される。当たり前のことが過不足なく書かれており,たとえや図解がちょうどいい。  この手の本は,対象層を「煽る」ことで炙り出していく印象があるが,本書は比較的穏健な方だと感じた。主にビジネスパーソンという人ら向けか。 読書記録# 1p1〜120 ・知的能力の軸:知識記憶力,対人感性力,地頭力・地頭力:3つの思考力(仮説思考力,フ

書記の読書記録#48「戦後文学の現在形」

紅野謙介・内藤千珠子・成田龍「<戦後文学>の現在形」のレビューと読書記録 レビュー最新の本。Ⅰ期(1945〜70年),Ⅱ期(1971〜89年),Ⅲ期(1990〜2020年)に分けて,「戦後」というフレームを解体しながら,現在形を創出することを目指した本。そこには戦後のほかに,冷戦の崩壊,同時多発テロ,震災,新型コロナウイルス禍が含まれた上で語られている。 読書記録もくじのついでに,自分の既読リストとした(2020/12/12)。 本記事のもくじはこちら: