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ずっと母が嫌いだった 8
(行政書士が活動停止処分になるまで)
母が雇った行政書士は、土地登記に関わるという違法行為を犯した。
このことについて、まずは行政書士会へ不服申し立てをした。しかし、のらりくらりとした対応で埒が明かない。役所で行われている市民相談に出向き話したところ、身内同士、守る意識が働いているのだろう、という。
そこで、県庁へメールを送ってみることにした。
調べた限りでは行政書士に対する懲戒は、都道府県が行うようであったので。
すると、すぐに返信が届き、県庁まで説明に来てほしいとある。
日時を約束し、向かった。
担当者は「よろしいですか」と断りを入れ、録音をする。
メールにて、ある程度の内容を送っていたので、後は枝葉の説明と、経緯を時系列にまとめた資料とを手渡した。
この後に、県庁に出向き苦情を申し入れたことを、行政書士会へも伝えたところすぐに動きがあり、調査委員会の立ち上げがされ、私の元へは説明のための出頭命令書が届いた。どういう形での聞き取りなのか、と問い合わせてみると、委員五人が立ち会うのだという。会員の違法行為に対する苦情であるのに、被害者を被告人扱いである。
これは絶対に丸め込む算段だ、と感じた私は、かねてより相談してきた知り合いの司法書士に同行を依頼した。快く応じてくれたので再び行政書士会へ連絡し、そのことを伝えると「前例がないため、協議し返事をする」という。再び県庁の担当にもそのことを伝えた。すると、行政書士会より「認める」と返事が届いた。
いざ、委員会が開始された。案の定被告席に座らされているかのようだ。
目の前に委員五名の席が並び、その前にポツンと置かれた椅子に、私は一人座る。私に同行した司法書士は「無関係者」の立場のため、オブザーバー席だ。
聞き取りの内容は、およそ、業務とは関係のない、プライベートな話に終始した。曰く、母との関係、なんでお母さんは遺言を無視した登記を行政書士へ頼むに至ったか、それだけ。それが違法行為を行う理由にでもなるというのか。あほらしい。
終わり、司法書士は言った。
「処分は期待できそうにありませんね」
私も同感だった。この件は県庁の処分に期待するしかない。行政書士会の委員たちはくそだと思った。
それから半年が経ち、やっと処分が出た。
しかも、その処分内容は、苦情を申し立てた被害者へは知らされないという、本当におかしなものだ。行政書士会はつくづくおかしい。
だが、結果はひとまず納得のいくものであった
「一年間の会員権利の停止」処分。
母の依頼以外にも、数件の違法行為があったことが認められたという。
司法書士は感想をこう言った。
「処分は期待できないと思いましたが、違法行為を重ねていたのですね。同じ仕業の立場としては、一年間の業務停止はかなり重いと感じます。その間に仕事をしたことが発覚すると、資格はく奪になりかねませんから」
父の遺言は叶えられなかったが、父の遺言書を「ただの紙くず」と言い放った行政書士には、仕返しができたと思う。
つづく
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