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思い出「伊豆のパラダイス」

【怖い物無し】

22歳の時。

東京から静岡県の伊豆方面にツーリングに出かけてきた。

正確には「静岡県田方郡函南町桑原」にある「原生の森展望台」

この時、5人でツーリングに行こうと話が決まった。

全員、デニーズの仕事仲間だ。

でも、ツーリングに使用するのは、原チャリ。

普通の自動二輪を持っていたのは、俺ともう1人だけだったからだ。

俺は、当時バイクと原チャリを所有していた。

250㏄の「マグナ」というバイクと「ジョグZ」という原チャリ。

伊豆方面に原チャリで行こうと決まった時、俺は気が遠くなった。

そして、生きて帰って来れる気がしなかった。

原チャリで伊豆まで行くと恐らく、片道6時間はかかる。

でも、みんななぜかノリノリで断れなかった。

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【酷道246】

そして当日。

俺は、フル装備をして原チャリに乗り込んだ。

「エンジンオイル3本」「予備のバッテリー1個」「パンク修理キッド」

これ全部、持って行く事にした。

実はこれでも不安だったが。

そして出発し、酷道246を永遠走っていく。

この道路は、原チャリも走れるが、大きい道路で高速道路並みの車が通る。

我々は、道路の左側を走っていたが、トラックの風で飛ばされる。

乗用車も時速100㎞位で我々を追い越していく。

もう、戦々恐々で酷道246を走り続けた。

でも、何時間も走っていると慣れてくる。

そして、落ち着いて回りも見えるようになった。

そこで、ふと気が付いた事がある。

この場所を原チャリで走るなんて、きっとアホの集団にしか見えない。

俺は、周りの車の視線が恥ずかしく自分が何をしているのか解らなかった。

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【馬鹿と天才は紙一重】

東京から出発して、6時間半走り続けた。

そして目的地の「原生の森展望台」に到着した。

この時までに、エンジンオイルを1回補充しただけで済んだ。

原チャリのエンジンオイルは、走るとガソリンみたいに減っていく。

交換する物では無いのだ。

我々は、この展望台で記念写真を撮って食事して、休む事にした。

実はここ、特に眺めが良い訳でも無く、ただの野原が広がっている場所。

ここまで原チャリ出来た達成感だけが、心を満たしてくれた。

人間馬鹿を貫けば、天才になれるのかもしれない。

みんなも疲れ切った様子で、ぐったりしていた。

でも、若かったせいか2時間も休むと体力が回復した。

そして我々は、帰りの道のりに向けて気合を入れ直した。

そして、また6時間半かけて帰っていく事になる。

原生の森展望台


【ハングオン!】

我々は、また来た道を戻り、酷道246に向けて走って行った。

帰り道。

山から下る事になり、かなりスピードが出せていた。

原チャリの速度は60㎞までしか出ないが、70㎞位まで出てたと思う。

途中、急なカーブがあり、車体を地面にこすりつけながらハングオンした。

非常に楽しい。

まるで、ゲームのシーンをそのまま現実に再現している。

かなり危険な事だったが、楽しくてこのまま山を下って行った。

そして国道246に乗り、走り続けいているとある事に気が付いた。

スピードメーターを見ると55㎞までしか出ていない。

正確には、60㎞出ていたが55㎞までしか針が動かなかった。

山を下る時、無茶な走りをしてメーターが壊れたのだ。

でも「原チャリ だ・か・ら」と思い、特に気にせず走り続けていた。

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【俺の感ナビゲーションシステム】

そして、クタクタになりながら東京の地元に到着した。

出発したのは朝5時。

到着したのは、夜11時。

みんな疲れていて、このまま家に帰って行った。

この帰り道、俺はふとスピードメータを見た。

そうしたら、全く動かなくなってしまていた。

完全にスピードメーターが壊れてしまったのだ。

壊れた原因は、長時間エンジンの熱に晒された事によるハンダ割れ。

恐らく、原チャリの振動も原因かもしれない。

俺は、この時疲れ切っていて直す気にはなれなかった。

もう、風呂に入って寝てしまった。

でも、この後も直すのが面倒くさくてそのまま乗り続けてしまった。

スピードは、俺の感ナビで測れたから特に問題ない。

スピード違反4回切られて免許の点数が合計8点引かれたが、特に問題ない。

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