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インバウンド Vertigo

昨年から広島も海外からの観光客風の人が随分増えました。会社の隣にあるマンションはAirbnbでみると1泊9900円とかですが、毎朝夕大きな荷物を持ったインバウンドの方を見かけます。

また女房の友だちで宮島のお寺さんの方が「もう死ぬほど忙しい」と言っていたとのこと。その友だちは御朱印を書く係(?)でもあるのですが、朝から晩まで筆を離すことがないくらい忙しいらしいです。

ただ随分と観光客の変化を感じるのは、コロナ前は圧倒的に欧米系の人が多かったのですが(見た目)、この所はアジア系の人、それもタイとかマレーシア風の人が目につきます。まあ平和公園で彼らが話しながら歩くのを耳にすると、そういう感じの言葉に聞こえるので。
決してそれだけの理由ではないと思いますが、過激な円安の定着がそういう感じなのでしょう。為替で見てもタイバーツは二年前から対円30%、マレーシアリンギットは21%、ベトナムドンは27%強くなっています。

実は今週アメリカからお客さんが来られました。女房の叔母さんが長く付き合っていた娘さん(今は50歳くらい)がご主人と来られたものです。叔母さんが5年ほど前に亡くなり、その年に来広して以来です。その時は形見分けとかが出来なかったので、今回は良い機会ということで、お墓参り等もされました。

彼女は香港出身ですが、学生時代から単身で日本やアメリカの学校に行き、アメリカの会社に勤め、そこでご主人(アイルランド系)と出会ったのです。
今回はコロナ後初めて香港に里帰りし、香港で暮らしている母親と姉にあった後、日本に来たもので、広島の後は東京を駆け足で回り、NYに戻るとか。

私は海外の状況はニュースとかでしか知ることができないのですが、こういう機会だと個人の感想ということで生の感覚がわかる良いチャンス。あくまでご夫妻の個人の話からですが、いくつかわかる程度の英語で質問しました。

1 香港も5年ぶり位だけど、その頃と今は変わった?
→ 全然違う。あそこは政府の締め付けがあちらこちらで見られ、もう暮らす気にはならないし、いつか母が去る時があっても行くことも無いかもしれない。

2 日本はどう?
→ 日本人は気が付かないかもしれないが、日本は本当に安全で安心で滞在できる。香港とは段違い。

3 円安は?
→ 日本には申し訳ないけれど、今回の旅行も円安で満喫できている。ただ今は150円くらいだけど、来週には145円くらいには上がると思う。

4 大統領選挙について(この夫婦はNYということもあり民主党に近い)
→ トランプになるだろう。もう半分諦めている気分。前回のトランプ政権後の実感としては様々な分断が生まれているし、有色人種への差別も収まらない(彼女はアジアの顔立ちですからね)。
メキシコからの不法移民も強烈に送り返しているし、バイデンになったからと言って分断の構図は下火にはなっていないどころか、様々な所で新たな分断が生まれている。かつては人種のるつぼ、メルティングポットとか言われていたけれど、もう「私とあなた」「味方と敵」染まることのないそういう国になってしまったと思う。

まあ堅い話だけでなくご家族や食い物の話もありました。
旦那さんはシンシナティ生まれ育ちだけれど、父親の生まれはヒューストンで転勤でシンシナティに来て航空機のエンジニアをしていたそうです。大学で知り合ったのかな、母親はルイジアナの出身なので、食卓にはケイジャン料理が沢山並ぶ(今や旦那さんの得意料理)そうです。
奥さんは豆があまり好きじゃなく、日本のように豆の香りがあまりしない豆腐や枝豆は好きだけど、香港でも豆腐料理は苦手だし、旦那のケイジャン料理でも大きな豆は選って出しちゃうのだそう。

旦那さんはアイリッシュの4世になるのだそうですが、兄弟は姉、姉、本人、弟、妹、妹の6人兄弟で、多いなあ~と言ったら、本人は「カトリックだからね」と言ってました。
長姉が凄く優秀で、フィラデルフィアでサイエンティストしているのだそうです。もう70歳位なのですが、癌の研究者だそうで、彼女はノーベル賞の選考メンバーの一人だとか。
ノーベル賞は、該当分野の専門家らに受賞候補の推薦依頼するので、それに該当するのか、あるいはノーベル委員会や委託された専門家が「推薦された研究者が本当に最初に手掛けたものか」「同様の成果を挙げた研究者が他にいないか」などを調査し、候補者を絞り込む手続きがあるそうなので、そこに該当するのか、いずれにしても凄いお姉さんですわ。

ところでこのご夫婦は同じ会社で働いています。いわゆるゼネコン、コンサルタントということで、グローバル企業。NYだけで7000人くらい働き、アジアパシフィックでは北京、上海、シンガポール、バンガロールなど支店で8000人くらい働いているのだとか。
旦那さんはアーキテクチャだから建築設計、奥さんはインテリアデザイナーなので同じ会社だけど、同じ物件を扱うことはないそうで、家で仕事の話はしないのだそうです。

その奥さんの話ではアメリカ、特にNYはビジネスの中心地なので、不動産のニーズは引く手あまた。それも業種によって上り調子の業種、下り坂の業種と出入りが激しいので、インテリアデザインのビジネスは困ったことがない。
例えば、ある会社がビルの3フロアーを借り、500人働くオフィスのデザインの依頼があり、また今度は不景気になったからと300人レイオフしなきゃいけないので、隣の安いビルの200人用のオフィスに移動する時、またインテリアデザインの仕事が入る。とにかく動いている所だから手の空く暇がないそうです。
とにかくNYでは動きがビジネスの中心。腰をどっしり据えてなんてやっていけない。リーマンの前後なんてイケイケの金融ビジネスが、あっという間に倒産、その一部門をM&Aして業界再編、それぞれのタイミングでインテリアデザインの仕事がごっぽり生まれる。金融の次はネットがそうだし、今は次の業界に…いやはや生き馬の目を抜くといいますが、そうなんですね。広島でのんびりしちゃっているな、と反省大です。

食事が終わりホテルまで送る道中の車の中で、「広島で面白かった事」として「おりづるタワー」の10何階にある折り鶴を投入するところが床がガラス張りになって下が見える所が凄かった、という話をしていました。

私は高いところが苦手なので、何とか高所恐怖症と言おうと思うのですが、そんな英語出てくるはずもなく、思いついたのは「ヒッチコック」「ジェームス・スチュアート」「キム・ノバク」の映画、というと「ああバーティゴね」とドンピシャリ。映画って見ておくもんですね。


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