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差し入れ

栃木の刑務所への収監はいやじゃなあ。こちらは国内最大の女子受刑者収容施設だそうなので、私が入ることはないのですが。

こういうので思い出すのは、大杉栄の獄中記のエピソード。

「しかし僕等は、先方の扱い如何にかかわらず、一年なり二年なりの長い刑期を何とかして僕等自身にもっとも有益に送らなければならない。
 僕はその方法について二週間ばかり頭を悩ました。方法と言っても読書と思索の外にはない。要はただその読書と思索の方向をきめることだ。
 元来僕は一犯一語という原則を立てていた。それは一犯ごとに一外国語をやるという意味だ。最初の未決監の時にはエスペラントをやった。次の巣鴨ではイタリア語をやった。二度目の巣鴨ではドイツ語をちっと噛った。こんども未決の時からドイツ語の続きをやっている。で、刑期も長いことだから、これがいい加減ものになったら、次にはロシア語をやって見よう。そして出るまでにはスペイン語もちっと噛って見たい。とまずきめた。今までの経験によると、ほぼ三カ月目に初歩を終えて、六カ月目には字引なしでいい加減本が読める。一語一年ずつとしてもこれだけはやられよう。午前中は語学の時間ときめる。
 こう言うと、僕は大ぶえらい博言学者のように聞えるが、実際またこの予定通りにやり果して大威張りで出て来たのだが、その後すっかり怠けかつこの監獄学校へも行かなくなったので、今ではまるで何もかも片なしになってしまった。」

「一犯一語」というのも凄いですが、まあここで書いてあるように「読書と思索」というのはそうだろうと思いますが、栃木刑務所はそれを押さえ込んだわけですね。

制限した理由は「書籍の受け入れ業務が逼迫」とありますが、本が別に好きでもない職員が1ページずつ書籍をチェックしてるんだろうか。
刑務官の映画と言えば色々ありますが、チョコレートも忘れ難い。

ハル・ベリーが勿論美しいが、ビリー・ボブ・ソーントンも渋いし、ヒース・レジャーの精神的に不安定な若者の役も素晴らしい。

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