妊娠した高校生を退学させる校則はあるのか?
妊娠した高校生の大半が中絶か退学の二択を迫られるというこちらの動画。
【未成年】中絶?退学?妊娠した女子高校生が突き付けられる選択肢とは?固定観念や同調圧力が背景?安藤美姫と考える#アベプラ
幸いにも僕が通った高校は校則がほとんど無いゆるゆる学校で、不幸にも異性との付き合いが全く無いしおしお学生時代を送ったため、こういった問題に直面したことはなかった。
実際のところ、こういったケースへの学校側の対応に、場の空気以外の何か根拠になるものはあるのだろうか?
ちょっと気になったので、こちらのサイトで軽く調べてみた。
「交際」で検索してみると、現在(2022/05/21)掲載されている1083校中209校が該当。
100校くらいざっと見ると、男女交際の項目において、節度、理性的、品位、清潔、健全、高校生らしい云々を心がけ……といった表現が頻出する。
典型例はこちら。
さすがに「妊娠したら退学」のような直接的な表現は無いが、ざっと見た印象としては交際自体は否定しないものの性行為は暗に禁止するものが多い。
察するに性行為は高校生らしくないということになるのだろうが、そもそも「らしい/らしくない」の判断を学校(大人)が規則の皮をかぶって押し付けるのは教育として適切だろうか?と思う。性というプリミティブな欲求を発現する場で自発的な判断の機会を取り上げてしまえば、大人の顔色を伺って正誤を判定する子供になるのでは……などと思っていたら、パンチのある校則がちらほら。
男女交際に正解があるのか!知らなかったなぁ。ディストピア小説みたい。
ぐ、具体的!
「なんでそこまで指図されにゃならんのだ」と思うけど、ここまでガチガチに監視をしてどういう人間に育てたいのだろう?
また、誤解や非難など他人の目を気にする表現も地味に多い。
人からの目線に振り回される人間を育てようとするのが日本っぽくてステキ。先の動画でも周囲からの非難が大きな判断理由のひとつとして挙げられており、集団内の空気がいかに大切なのかよく分かる。
教育というと「自分で生きられる力を育み~」といった綺麗事がよく言われるが、本音の部分では、言うことを素直に聞き入れて逆らわず、親の望んだ通り言いなりになる子供を求めているのでは?と思ったりする。
未成年である以上、保護者の判断に任せるのはある程度妥当性があるだろう。高校生の子供に「子供を作れ孫を見せろ」と言う親もまずいないだろうし、学校が生徒に性行為をさせたくない場合にできる表現としては、この辺がいいとこか。
恋愛のような極めてプライベートな領域まであれこれ口出しをされ、妊娠でもしようものなら自ら退学を選ぶように追い詰められる。学校は声の大きいクレームの言いなりで性をタブー視して、知識の与えられる機会が無いまま妊娠も中絶も自己責任にされる。
それが教育的指導としてまかり通るのも、子供をコントロールしようとする大人の思い上がりゆえだろう。がんじがらめの規則によって一挙手一投足を見張られる子供は、周囲からの非難にびくびくしながら大人になり、自分がされた仕打ちを孫子の代に引き継ごうと子供を手取り足取り先回りして指導するようになる……といったところか。なんとも窮屈なものである。
校則は世間の声の反映として読むとなかなか楽しいので、上記のサイトはとても面白い。
追記
文部科学省からの通知を、Twitterで(間接的に)教えていただいた。
文部科学省としては妊娠を理由にした退学を原則的に認めておらず、母体の健康を優先しつつ、本人の意向を尊重することを通知している模様。学生が退学を申し出た際も、本人の意思確認を十分に行ったうえで、学業を継続するための情報提供を行うようにとのこと。
そのため、妊娠を機に不本意な退学を選択してしまった学生が発生する理由としては、学校が学生へのケアを怠っている可能性が考えられる。この背景には、やはり「妊娠をする(行為をする)のはケシカラン」といった場の空気があるのだろう。
ルールに明文化されていなくても、なんとなく後ろめたい雰囲気があれば学校に居づらくなるし、学校としても空気に逆らった対応をしづらくなるだろう。
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