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心理職を目指した理由(わけ)

 たまに、どうして心理職になろうと思ったの?と聞かれることがあります。これは、同業同士では禁句に近いもので、話題として取り上げてよいのはせいぜい大学時代まで。心理職の多く(特に臨床心理士)は院卒ですが、修士課程在籍中であってもお互いに聞き合わないのが、暗黙の了解になっています。

なぜ心理を勉強しようと思ったか?あるいは心理職を目指そうと思ったか?その答えにその人のバックボーンが影響していることは、聞くまでもないことだからです。

私の場合、小さい頃に超能力ブームがあったこともあり、透視や占い、おまじないなどにどっぷりはまっていた時代がありました。

さらに、身近な親族がそこそこ重いタイプの精神疾患を発症。その病状や対処方法を小さい頃から間近で学び、見てきていたので、精神疾患の人の心理とはどういうものかを思考する機会が多々ありました。ただし、当時はカウンセラー等と話す機会は持てませんでしたが。

精神疾患の人特有の被害妄想や情緒不安に対して、自分なりの対応ノウハウが出来てきたように自覚していた大学生のとき。いよいよ心理学の授業を複数取ってみると、自分がなんとなく感じ、行動していたことがすでに体系化された学問となっていたことを知り、衝撃を受けます。

その後、レポートや実習でも手ごたえを感じるようになり、評価されることが増えました。よく書けているからと、盗用(引用)を疑われたこともありました。私の出身高校がそれほど偏差値の高いところではなかったからでしょう。期待していなかったのに、それなりのレポートになっていたので、驚かれたのかもしれません。あるいは、私を伸ばすためのリップサービスだったのかも。いずれにせよ、自分がこの方向に向いているのだということは、心理学を学ぶうちにたびたび実感することができました。

本などで勉強してきた人と比べると、小さい頃から体験しながら身についていた分、感覚で理解・判断出来ることが多く、圧倒的に有利でした。心理学を学んでいくことは、まるで私の人生の答え合わせのようでした。そうして、たちまち心理学にのめり込んでいったのです。

先生方にも恵まれ、心理職を目指す上で気を付けるべきこと(プライベートでいかに精神の安定を図るか?)などについても指南していただきながら、現役で臨床心理士指定校(大学院)に合格。

勉強不足・知識不足なところは入学してから見えてきたりもしましたが、院生時代に勤めた小学校の相談員では、あっという間に面談枠がいっぱいになるほど、反響を得ることができました。

卒業間際に課せられる事例研究の論文も、同期の人達が発表できる事例(ケース)がない、そもそも継続した面談がなかったという人がほとんどでしたが、私の場合はたくさんケースを持っていたため、特に効果的な関わりができた事例を選んで寄稿することが出来ました。

手前味噌ですが、同じように学んでも、現場に出たらこれほど差が出るのかと思いました。

院を修了してからは自治体のスクールカウンセラーとして働きながら、まずは臨床心理士取得を目指すこととなります。

それから約20年。これまで一度も、この仕事が自分に向いていないと思ったことはありません。

今も多くの人達が、私と話がしたいと予約の日を楽しみにしてくれています。不登校の児童・生徒でも、私と話すためなら学校に久しぶりに登校してきてくれる子がたくさんいます。

これが、私がこの仕事をしている理由だといえるでしょう。


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