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ワレ定年二突入セリ! 【#10 DIYアドバイザーに挑戦の巻】

【はじめに】

2024年春、私は37〜8年勤めた会社で定年を迎えた。
55歳の時に会社は定年退職に向けた説明をしてくれた。
あれから5年、私が定年を迎えるにあたり、何を学び、どう考え、どんな決断をしたのか?
いま次々と直面している定年近辺の手続きや決断について、備忘録として記録していこうと思う。
このnoteが私と似た状況の後輩たちにとって、少しでも参考になるように願う。

 私はホームセンターで工具などを見るのが好きだ。
知らない町を車で訪れた際などは時間の許す限りその土地のホームセンターを探し、近所の店では売っていないその土地ならではの商品などを手に取りどんな工夫があるのかを見るのも楽しい。
 梅干しを作るタイミングには大きなザルやプラスチック製の樽、米の収穫時期には知り合いに配る用に使うと思われる2Kg程度の大きさの「自家製米」とプリントされたビニール製の米袋など、その土地ならではの文化を感じられるホームセンターはいつ行っても私に新しい発見をくれる場所である。
 2014年、私が50歳のある日、訪れたホームセンターの壁に「あなたもDIYアドバイザーになりませんか?」的なポスターが貼られていた。
ネットで調べてみると、ホームセンターで販売されている工具類の取り扱いや木材加工、水回り、塗装などの幅広いジャンルの知識を習得し、アドバイスできる資格らしい。

受験するのは主にホームセンターに勤めている人達が中心のようだった。
受験対策用に通信教育の学習教材もあり、ホームセンター好きの私は定年後、もしかしたら就職先の候補の一つになるのかもしれないと軽い気持ちで資格取得に向けて勉強する事にした。
 日曜大工的な工作が好きなのでそれなりに出来ると自信があったが、学び始めてみると知らない事ばかりで大変苦労した。
 今日の水栓器具やウォシュレットなどの進化のスピードは凄まじく、以前のように故障箇所の部品単体で交換するのではなく、ユニット式で一つのエリア丸ごとを交換するやり方になってきているので、教科書に書かれている昔ながらのタンク式トイレの仕組みや修理法を覚えてもいまは使う場所が無い。
 接着剤も進化が激しく、昔は接着する物によって接着剤を使い分け、2種類の薬剤を接着直前に混ぜて使う方法などもあったが、現在は水中でも金属でもどこでもこの1本で大丈夫という魔法の接着剤が売られるようになっているので、これまた教科書に書かれているボンドで接着するときは塗布したら少し時間を置いてくっつけるなどは過去の話になってしまった。
 そんなDIYアドバイザーの試験は学科と工作をする実技、最後に面接を受けるのだが、私は1回目の受験でとある工具の使い方が分からず、工作物を完成させることができなかった。
その工具とはホッチキス(アメリカではステープルと呼ばれてます)を大きくしたようなタッカーという工具で、いすなどの木工品に布を留める時などに使われるのだが、メーカーが違うと歯の入れ方が違う。
試験で使う道具は試験の運営側が用意した工具を使用するのだが、家にあるタッカーと会場で出たタッカーがメーカーが異なり、私はタッカーに歯を装着することができず、試験は通らなかった。
 翌年の試験でようやく合格することができ、晴れてDIYアドバイザーの資格を取得したが、運営している協会にアドバイザーとしての名刺を発注した以外、DIYアドバイザー勤めている会社からホームセンターに転職することもなく生活に大きな変化はなかった。
しかし、ホームセンターを訪れた時にアドバイザーの資格を持っていそうなお店の人を意識して探すようになるとやはりそれなりの人数の方が働いていることが分かった。
 この資格を生かした職場としてはホームセンターの他にホテルの営繕(旅館などの施設管理や修繕を行う専任スタッフのことで、設備が正常に稼働しているかの確認・点検・メンテナンスが主な仕事)で働く人も多いようだ。
ホームセンターはお客様の相談に乗って商品を販売し、営繕は部屋の備品の修理や水回りのトラブルなど、実際に手を動かして問題を解決することとなる。
 手を動かすことが好きな私としてはどちらも楽しそうな職業ではあるが、
まだ定年後の職業を決める段階ではないと思っていた。 

この時の私は51歳。定年まで3,200日以上あるのであった。

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