『蕎麦湯が来ない』を読んで短歌を作っていたらせきしろさん又吉さんと共演できた
一昨日『自由律俳句を鑑賞する夜2』というトークライブに出演させていただいた。出演者は、せきしろさん、又吉直樹さん、ひだりききクラブ(出雲にっきさん、すずめ園さんによる自由律俳句ユニット)さんと、僕。
せきしろさん!? 又吉さん!?
お読みいただいている皆様以上に、僕自身が驚いている。せきしろさんと又吉さんの著書『蕎麦湯が来ない』を読んで短歌に傾倒した僕にとって、それは夢のような時間だった。スタッフの方に「ジェロニモさん、前半は表情が硬かったですね〜」と言われたが、正直に申し上げると、ライブ前半の記憶がない。眠っていたような浮遊感だけが、すっきりと残っている。本当に眠っていたのかもしれないので、皆様の目で配信アーカイブを確認していただきたい。人は夢のような出来事に遭遇すると、夢すぎて、眠ったような心地になることがわかった。
ライブの最後に、「春」をテーマに僕が作った短歌五首を発表して出演者の皆様にお読みいただく、という時間を設けていただいた。そこで頂戴したコメントが嬉しくて、生きていてよかったと思った。ライブレポート的にここに書き置くので、お読みいただきたい。僕がにやける様子を思い浮かべてもいいし、思い浮かべなくてもいい。
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飲み干したのでこぼれない紙コップだけを選んで倒す春風/鈴木ジェロニモ
又吉さん「うん、うん。良いですね。花見とかで、コップに入っているとこぼれるかもしれないから早めに飲んでしまいたくなるというか。倒れるか倒れないか、飛ばされるか飛ばされないか、自分の場所から遠いか近いか、とかで食べるものを決める、みたいな。自分が食べたいもの、飲みたいものというよりは、状況によって『ホンマはアレ食べたいけどコレばっか食うてんな』みたいなね。」
せきしろさん「『あっちにあるやつ食べたいのに、こっちはシーザーサラダみたいなやつしかないなあ』みたいなね。」
又吉さん「『でもそろそろ食べておかないと、アイツ食べてないと思われるから、またシーザーサラダいっとくか』とかね。」
せきしろさん「花見も大変だなあ。」
又吉さん「面白いですよね。飲み干すまではこぼれる可能性があって、飲み干したら安全というわけでもなくて。倒れて、転がったら取りに行かないといけない。隣のブルーシートまで行ったら迷惑がかかる。そういう、いろんな『花見の時間』が見えますよね。」
ワイパーに雪を残したミニバンが異物のように春の街道/鈴木ジェロニモ
又吉さん「ああ、良いですね。」
せきしろさん「すごい、良いと思うんだよね。」
又吉さん「良いですね。」
せきしろさん「あることなんだよね。雪が残っている車が、どこかから国道を走ってくる。この車には雪が残ってる、とか。」
又吉さん「そうか、それが『異物のように』ってことなんですね。『ワイパーに雪を残した』っていうのが、やっぱり良いんやろなあ。大阪だと、正月のときに、車のフロントのところに蜜柑をつけたりするんですよ。あれも、残している人がいたら『異物』みたいになるなあって。良いですね。『春の街道』って、気持ちよさそうやもんなあ。」
「本番もこの調子で」と式典の来賓役のメタなあいさつ/鈴木ジェロニモ
せきしろさん「これも面白いね。本番で言う人もいるんだよ。『あ、これが本番か!』みたいなのを言う人がね。ああいう人たちは、メタが面白いと思ってるんだよ。」
又吉さん「でも僕、感傷的すぎるかも知れないんですけど、卒業式の練習のときって、もう大事じゃなかったですか。『あと何回かでみんなともう会わんようになるんやな』とか、けっこう思ってました。だから、予行練習のときの感じとか、めっちゃ覚えてますね。」
せきしろさん「俺、もう、卒業式出てないから。」
又吉さん「出てないんですか。」
せきしろさん「うん。出ないほうが格好良くて目立つかなとか思ってた。『アイツ東京行ったんだ!』とか、みんな思ってるんだろうなって。そしたら誰も覚えてなかった。」
又吉さん「一番、俯瞰で見てるじゃないですか。一番メタかも知れないですよ。」
春色のラベルを巻いた炭酸のそこはかとない春ののどごし/鈴木ジェロニモ
せきしろさん「かっこいいね。」
又吉さん「なるほど、なるほど。」
せきしろさん「ラベルが変わる時期だよね。ビールにしても、何にしても。この前スタバ行ったけど、春だったよ。全部ピンク色だった。」
すずめさん「又吉さんの『フタに注いで吸う』という句と近い感覚のような気がします。お気に入りのコップに注ぐとか、『春色のラベル』というだけで、味が違う気がする。」
又吉さん「確かにね。」
せきしろさん「ラベルが違うと春の味がするよね。」
アパートに引越しセンターやってきて去っていくータンセし越引/鈴木ジェロニモ
せきしろさん「引越しセンターが逆になってる、というね。トラックに書いてあるものが、逆に行くという。」
又吉さん「面白いですね。」
せきしろさん「短歌の人だなあと思うよね。短歌じゃないとこういう『遊び』ができなかったりする。俳句も、こういうのはできないから、羨ましいなあと思う。」
又吉さん「うん、良いですね。」
せきしろさん「『アパート』っていうのは、強い単語だよね。」
又吉さん「そうですね。」
出雲さん「岩井俊二監督の『四月物語』という、松たか子さんが主演の映画を思い出しました。一人で上京してきた女の子と引越しのトラック、みたいな情景が思い浮かびました。」
せきしろさん「映画の最初のシーンみたいな感じはあるよね。」
又吉さん「そうか。ここからいろんなことが始まっていくんですね。」
すずめさん「始まりの一首ですね。」
せきしろさん「すごい、良いんだよ。この五首。」
又吉さん「はい、良いですね。」
せきしろさん「短歌の良さがあって、すごいなあと思う。自由律俳句って、悪い言い方をすると、投げっぱなしの場合もあるんだけど。でもこの五首は、物語としてちゃんと完結している感じ。」
又吉さん「面白いですね。」
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以上のようなことを、本当に、言っていただいた。そして昨日、又吉さんがご自身のラジオ番組の中で「コガラシガーナの鈴木ジェロニモくん」と、僕の名前を出してくださった。2日間で色々なことが起きすぎている。これも夢かも知れないので、皆様の耳で確認していただきたい。
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確認事項① 配信ライブ『自由律俳句を鑑賞する夜2』
配信期限:2021年3月14日(日) 23:59まで
確認事項② NHKラジオ『又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間 ▽あと寝る談話室』
配信期限:2021年3月8日(月) 21:55まで
確認事項③ 鈴木ジェロニモのなんちゃって文学『せきしろさん又吉さんと共演した話』
※この記事を書いた翌日、この2日間について全部話しました。
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諸々、ご確認よろしくお願いします。僕は今からスーパーに行きます。最近運が良いので、半額の惣菜を手に入れられるかもしれません。
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