日中共同映画製作協定5月にも締結

実は、日本はカナダとだけ共同製作「条約」というのを締結済なんですが、下記URLの記事ではなかったことになっています。まあ、「条約」の方は映画製作に補助金が出る国同志でないと、ほぼ意味がないので、なかったことにされても大勢に影響はありません。
https://article.auone.jp/detail/1/2/3/15_3_r_20180330_1522339732673746

いずれにせよこのニュースで思い出したんですが、数年前カンヌ映画祭のプロデューサーセミナーに参加した時、講師の人が「共同製作条約のない国の間では共同製作は成立しません」と断言してた。それが正しいかどうかおいといて、なるほど欧州ではそういう感覚なのね、と思ったんです。

欧州は映画のファイナンスのモデルが本当に違うらしく、おそらくセミナーの参加者が200人くらいいたなかで、日本からの参加者は私一人。韓国からはゼロ。中国からは、結構何人もいたんですが心底気楽な感じ。私含めたその他の参加者みたいな「表面上はにこにこしてるけど本音は金集めに必死」的な、「隙をみせたら何か売りつけられちゃうかも」的な空気感が全くなかった。

中国の人のことは置いとくとしても、映画に対する補助金のごく大まかな趣旨はおおまかに二つだと思います。欧州大陸の映画に対する補助金はハリウッド映画に対する自国文化の防衛、英国・カナダ等の米国以外の英語圏の補助金は雇用/経済政策。いずれにせよ米国を除く英語圏+欧州各国で共同製作条約網をつくって、二か国以上の政府から補助金を貰えるようにしてお財布を増やしている。

中国映画の場合は、補助金もあるようですがメインは保護貿易で文化(および思想の)防衛をしている。したがって、中国の共同製作協定の趣旨は保護貿易のガードを外国が参加した映画に少し下げてあげるというような位置づけみたいですね。

このまま日本で「補助金なし+共同製作条約網の仲間外れ」という状況が続くと、何が起こるか? アニメでも、実写でも日本映画として大作を作ろうとするとファイナンスの選択肢としては中国依存一択になる。
(要は韓国が一足先にそうなったので、カンヌのセミナーには韓国のプロデューサーがいなかった)

今や日本で死に絶えた印象もある、「いいものを作るためならお金はちゃんとたくさん出す」人が、頑張って探せば中国にはまだいるので、当面はいいことなんだろうと思うんです。ただ、それ一択というのは、今この瞬間に尖閣諸島で突発的な何かが起こるかもしれないし、来月くらいにトランプ大統領があっさり北朝鮮で戦争始めるかもしれないし、ちょっと用心深くなって他の準備をしておいてもいいんじゃないかと思いますけれども。


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