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悔しいが、引き込まれるほど演技の才能がある


何か月か前、友人と「不倫したとある声優の演技」について議論をしたことがあった。その中で、演者の背景は演技の背景になりうるか? ということで白熱した覚えがある。

つまりオブラートに包まないで言えば、性格の良い役を、何かやらかした人が演じる時、否応なしに演技を見るたびそのことが頭をよぎる、ということだった。


6/30(金)に公開された『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編ー決戦ー』を観る際、私が懸念したのはそういうことだ。
東京リベンジャーズ自体、実写から入りアニメ、漫画を読破し、原画展にも足を運ぶなどズブズブと沼にハマっていった。そして最終回を読み終えた後から見ても、今回映画で取り上げられるエピソードはこの物語の中で特段熱い部分だと思う。


だから楽しみにしていただけに、何がとは詳しく書かないが(もう読者の皆さんはお察しだと思われるので)、その重要なエピソード丸々背負い込むような男を、果たして冒頭部分で話した”背景”を無くして見届けることが出来るのか。私は正直不安だった。

映画を見ている際に絶対過るだろうし、そのことが邪魔で物語に集中できないのでは。そう思いながらも、映画館に足を運び、この1時間半だけは背景を、記憶を、無くそうと心がけて挑んだ。


結果として、最初の方に関してはチラチラと頭をよぎっていたし、どんな風に演じているのかという目線で観ざるを得なかったと思う。


けれど物語が進んでいき”例のシーン”に足をかけ始めた頃、グッと演技に引き込まれている自分がいた。ただ単純に、その役を完全に身体に降臨させている男が映っているだけだった。私はその時間だけ、その人の背景とか現実とかそういう演技にいらない部分をすっかりと忘れて見入っていた。楽しんでいた。


それを振り返ってみた時、本当にもったいない役者だと頭を抱えるほかなかった。過大評価だと言われるかもしれないが、いらんことを忘れさせてくれるくらいその人の演技は素晴らしかったのだ。だから、俳優をやめないでくれと思う。彼を知ったのは東京リベンジャーズ2からであり、彼を語るには浅すぎるが演技力は本物だと思う。


色々と物議をかもしていた『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編ー決戦ー』だが、最後には安心して見ることが出来た。確かにあの男を演じるうえでこの事件が舞い込んできたときがっかりさせられたことは確かだ。
でも、それと同時に引き込まれてしまったことも確かである。

擁護するしないという枠組みではなく、単純に、彼の背景を忘れてしまう時間があったことだけは伝えておきたいと思った。


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