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もし今の時代に産まれ、小学生だったとしたら。僕は学校に通い続けるのか。

春から小学5年になった次男。5月の連休明けまで約1ヶ月だけ通うことができたものの、また学校に行かない日々が続いている。その理由を聞いてみたら、あれこれとたくさんのエピソードがでてきた。

これについては本人の特性もあるため「そんなの気にするな!」と無理じいすることも酷であって、「行かないなら行かないなりの生活をすればいいんじゃない?」と声がけして今にいたる。

学校との不毛なやりとり

その間も、僕の携帯には担任の先生から連絡がくる。

・春の移動教室への参加はどうするか?
・ドリルやワーク教材は注文してよいか?
・クラスのみんなになんて伝えればいいか?

「そこは教育のプロである先生に任せます。先生はどのようにしたらいいと思いますか?」

なんて、モンスターペアレントのような言い方は決してしない。質問に対しては、僕の考える「これ」という回答を伝えるようにしてきた。先生にとってみれば、

・たまたま受け持つことになったクラス
・40人の中で変わった特性を持つひとりの生徒
・その彼が学校に来なくなった

それ以上でも以下でもない。もしやと思って尋ねてみたら、ASDというキーワードについてもほとんど初見らしい。特別な期待などもってのほか。両者にとって、数年もすれば忘れるだけの過ぎ去る存在という間柄がいいだろうと納得している。

もし自分が今の時代に産まれていたら

先日、とある知人から「お子さんは元気ですか?」と聞かれた。
僕はなんでも赤裸々に話してしまうたちで、

「いやー、我が家はみんな不登校なんですよね笑」と伝えたところ、

「もし鈴木さんが今の時代に産まれたとして。それでいま小学生だったとする。その時、毎日学校へ通うと思いますか?」

こんな質問をされた。
なかなか難しい質問だ。

小学生時代を思い出してみる

ちょっとだけ自分のことを話すと、僕は宮城県の片田舎出身で、両親とも中卒のいわゆるブルーカラーの家庭に育った。溶接工の父親と准看護師の母、環境的には中の下、つまり貧乏だった。自分の部屋なんてなかったし、家のトイレは汲み取り式だったので友達から馬鹿にされた。

好きなゲームソフトを買うため小4からアルバイト(新聞配達)をして、当時のお金で月に2万円程度だが自分の小遣いを稼ぐ生活をしていた。

経済的に恵まれていなかったが腐ることもなく、ここから抜け出すには勉強しかないと思って、ただがむしゃらに勉強してきた。公立の小、中学校という枠組みの中で、なんの疑いもなく学校に通い続ける生活だった。

人は誰でも、自分の通ってきた道のりに一定の自信をもっているもの。何かの確証があるわけでもなしに、それが「正しい」と思い込んでしまうことがあると思う。もしそうでないなら、これまでの時間と労力が「無駄」の一言で片付けられてしまう。その一言への恐れのような感情。

かくいう自分も、社会一般のレールから外れた我が子たちを見るにつれ、言い表せられない不安にかられる。

はたして学校に通うのか?

そんなわけで、先ほどの質問に対して僕は即答できないでいた。
「もし今の時代に産まれたとして。毎日、学校に通うと思いますか?」
本当に「わからない」としか言えない。

僕の幼少期は、インターネットもスマホもない時代。

田舎にいながら遠くの世界と接する機会は皆無だった。大学にはどんな学部があって、進学した後に、将来どうなっていくのか?それをブルーカラーの両親に聞いても、もちろん教えてくれるはずもなかった。

中学校の友達から麻雀を教えてもらい、週末になると誰かの家に泊まっては徹夜麻雀に明け暮れた。そう、リアル以外の楽しむ術、選択肢も皆無だった。

そのため、何の疑いもなく学校に通って、友達とのネットワークの中に自分の居場所を見つけ、そんな閉じられた狭い空間の他愛もない話題でも、大笑いしたし楽しかった。

でも、今は違う。
密度の濃淡はあるけれど、毎日大量の情報にアクセスできるし、気になったものがあれば、自分で簡単に調べることもできる。好奇心さえあれば、受け手から作り手側にまわることもできる。

たとえ、小学生であったとしても、だ。

10年後に何が待っているのかわからない

最近、DLCコンテンツが発売されたエルデンリングというゲームがある。このゲームを愛してやまない次男だが、学校に行かなくなってからこんなことを伝えてきた。

「これって unreal engine と c++ で作られているらしいんだけど、これってパソコンがあればできるの?」

「いやー、お父さんも専門外でわからないな。Udemyとかでunreal engine の講義でも受けてみたら?」

次男には僕のお古のパソコンを貸しているが、それでエルデンリングのようなゲームを作ってみたいという。Udemyを自分で調べて、ソウルライクのゲームを作る講座を受講し始めた。

キャラクターなどが準備されていて、講義に沿って組み込んでいく

準備されている教材

講義ではunreal engineのセットアップや、基礎的なことからスタートらしいが、僕に聞くこともなしに、自分でインストールやらなにやらをやってのけた。

敵の体力ゲージのUI、攻撃判定をカスタマイズ

自分なりにカスタマイズ

エルデンリングに近づけるため、体力ゲージをカスタマイズしたいと思ったらしく、上のようなUIに変更し、攻撃判定も独自のものにしたらしい。

イベントの設定

僕にはよくわからないが説明された画面

こんなものを2週間ぐらいで作ってしまった。
わからないことはどうやって解決したの?と聞いてみたら、YouTubeで調べたとのこと。あとは

見よう見まねで、一応完成まで持って行けたことが何よりもすごいなと感じる一方で、この画面に向き合っている間にも、学校では漢字の書き取りや道徳の授業を受けたりと、社会生活で最低限必要なことを学ぶ。この子の将来にとって、どちらが正解なのか誰にもわからない。

ちなみに道徳は、次男が最も毛嫌いする科目の一つで、その理由が面白い。

「この時の佐藤君の気持ちを考えろってさ。そんなの誰にもわからないし、代弁するのも失礼。」だから。

とても爽快だ。

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