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認知バイアス大全

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賢い人も含めて、わたしたち人間が「頭の悪い行動をしてしまう」理由は、だいたい認知バイアスによるものです。認知バイアスとは、進化の過程で得た機能の「バグ」。この認知バイアスの良いと… もっと読む
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#認知バイアス事典

間違いを指摘されると逆に考えを曲げなくなる 「バックファイア効果」

人間は間違いを指摘されるとかえって強く信じ込んでしまうのか?何らかの認識を持った人が、その認識についての誤りを指摘されると、かえってその認識を信じ込んでしまうという現象があるのではないか、という研究がありました。これを「バックファイア効果」と言います。しかし、この効果についての7つの論文をメタ分析したところ、この効果はあまりみられないようだという結論に至っています。 バックファイア効果バックファイア効果(Backfire effect)とは、 です。バックファイアとは、英

後悔は人生に役にたつ。 認知バイアス 「反事実的思考」

銅メダリストは、銀メダリストより幸せな理由オリンピックメダリストの場合、銅メダリストのほうが、銀メダリストよりも結果に満足していることが多いようです(※1)。銀メダリストは、「もし、ああしていれば」という、過去についての「選ばなかった選択」について考えるとき、その「選ばなかった選択」の結果が、金メダル獲得という「今より上の事実」を想起します。一方で、銅メダリストは、同じように「もし、ああしていれば」という過去の「選ばなかった選択」について、考えるとき、その想起する「選ばなかっ

感情を理由に行動するとろくなことがない:認知バイアス「感情バイアス」

「認知バイアス大全」マガジン 感情バイアス 感情バイアス (Emotional bias) 具体例 中立的な出来事に対して否定的な判断を下す 肯定的な感情的効果を持つもの、つまり快感を与えるものを、たとえ反対の証拠があったとしても信じること 不愉快で精神的な苦痛を与えるような厳しい事実を受け入れることを嫌がること 最後のものは、「ダチョウ効果」に近い。ダチョウ効果とは、「危機の存在が明白であるにも関わらず、そのような問題は存在しないように考える傾向」。 感情と意

集まるとバカな結論を出す 「グループシンク」

頭の良いはずのひとたちが集まって、バカな結論を出すよく政治家や専門家たちが集まって出した政策に「どうしてそんなバカな結論になったのだろう?」というものがあります。人は、集まると不合理で危険な結論に至ることがよくあります。これをグループシンク(集団思考)といいます。 グループシンク グループシンク(Groupthink)とは、 です。集団思考、集団浅慮(しゅうだんせんりょ)とも訳されます。アメリカの心理学者、イェール大学のアーヴィング・ジャニス(Irving Janis)氏

ムダに独自の方法をあみだそうとする認知バイアス “NIH症候群”

認知バイアス大全マガジン 第二次世界大戦中、日本の陸軍と海軍はなぜ協業しなかったのか?第二次世界大戦時、日本の陸軍と海軍はあらゆる分野において独自開発にこだわっていました。機関銃も陸軍と海軍それぞれで開発しています。陸軍は、輸送用小型潜水艇すら海軍と協業したり、依頼するのでははく独自で開発しました。協業すれば合理的だし、ましてや戦時中、合理やスピードや戦略のほうが優先されるべき状況のはずなのに。これは「NIH症候群」というものが原因でした。 NIH症候群NIH症候群(No

リスクをゼロにすることに執着すると大切なものを見落とす 「ゼロリスク・バイアス」 とは

「認知バイアス大全」マガジンこのマガジンでは、236ある認知バイアスを事例や対策、応用を交えて紹介しています。 ゼロリスク・バイアスゼロリスク・バイアス(Zero-risk bias) 健康、安全、環境に関する問題を扱う場合によく現れます。ゼロリスク・バイアスは、リスクが減ることより、なくなってくれたほうが気持ちが良いために発生します。政策は、このゼロリスク・バイアスの影響を受けていることが多々あります。このバイアスにより、全体的なリスクを減らすことよりも、部分のリスクを

「それっぽさ」が判断を歪めてしまう 「代表性ヒューリスティック」

認知バイアス大全マガジン人間の不合理な行動には、認知バイアスが大きく関わっていることがあります。そんな認知バイアスを紹介しているのが、認知バイアス大全マガジンです。 メガネをかけているだけでガリ勉にみえる度の強い眼鏡をかけていたらガリ勉と自動的に推測してしまう。これはわたしたちに「度の強いメガネの学生」=ガリ勉というステレオタイプなイメージがあるためです。漫画の描写から学習したのかもしれませんが、このような「それっぽい」というイメージをわたしたちは、さまざまなものに対して持

投資やギャンブルで、「きてる!」、「もってる!」と思ったら要注意 「ホットハンドの誤謬」

「認知バイアス大全」マガジン認知バイアスとは、人間が進化の過程で獲得した生き抜く工夫……のバグ部分。不合理な判断、行動を起こさせます。そんな認知バイアスを集めたマガジンが「認知バイアス大全」マガジンです。 コインをトスして3回連続して表が出ると……コインを3回表ができると人は、次も表が出る気がしてきます。こうして確率に対しての認知に歪みが生じます。これをホットハンドと呼びます。ギャンブルで負けが続くと次もまた負ける気がしてきますが、これを逆に「コールドハンド(Cold ha

グラビアはあまり見ないほうが良い理由 「コントラスト効果」

「認知バイア」スマガジン認知バイアスとは、人間が進化の過程で、生き残るために獲得した工夫のバグ。不合理な行動を引き起こすもの。さが。このマガジンでまとめています。 ニュートラルなグレーは明るいのか?暗いのか?ニュートラルなグレーの明るさを評価するとき、同時や直前にダークグレーを見せられると「明るいグレー」という評価をします。一方でライトグレーを同時や直前に提示されるとニュートラルなグレーは、「ちょっと暗いグレー」に思えてきます。このように比較対象によって評価が変化することを

人が被害者をバッシングしてしまう理由 「公正世界仮説」

認知バイアス人が進化の過程で得た生き抜くための工夫のバグ部分、それが認知バイアスです。不合理な行動が生まれる原因が、生き延びるために得た武器の故障だなんて。そんな認知バイアスをこちらのマガジンでまとめています。 被害者がバッシングを受けることがある海外で拉致された日本人、レイプされた女性、行方不明の子を持つ親……。被害者にもかかわらず、世間でバッシングを受けてしまう人たちがいます。なぜ世間は、ただでさえ苦しんでいる人たちをさらに責め立てるのでしょうか。 じつは、ここに、わ

236の認知バイアスの一覧

認知バイアスとは認知バイアスとは、人間にある思考や判断の偏りです。わたしたちは、認知バイアスを知らないことで、知らないうちに合理的ではない判断をしたり、記憶を歪めたりしています。しかし「認知バイアス」の知識を獲得すると、こういった人間のバグを回避できるようになります。 認知バイアス「認知バイアス大全」マガジンにまとめています。 認知バイアス一覧

なぜ、わたしたちはあとで後悔する決断を自信まんまんで下せるのか? 「歴史の終わり錯覚」

認知バイアス大全マガジン 大きなタトゥー、家の購入、喫煙やドラッグ……人は若かろうが、若くなかろうが、あとで「なんであんな決断をしたのだろう?」ということをしがちです。タトゥーを入れては消し、なんでこんなローンを組んだのか?と後悔するような大きな買い物をしたりします。これは、未来の自分と今の自分が同じだと考えだと勘違いしているためにしてしまうものです。この勘違いを「歴史の終わり錯覚」と言います。 歴史の終わり錯覚歴史の終わり錯覚(End-of-history illusi

人間は、損をするのが大嫌いすぎる 認知バイアス「損失嫌悪」

「認知バイアス大全」マガジン人間に不合理な行動を起こさせる認知バイアスとは、進化の過程で獲得した生き抜くための工夫……のバグ部分。これを理解すれば、多くの不合理な行動を避けられ、それどころか利用すらできるようになります。そんな認知バイアスを紹介しているのが、この「認知バイアス大全」マガジンです。 得をするより、リスクを避けるのが生き物の特性リチャード・セイラー博士は、ある大企業の25ある部門の各部長らにこう尋ねました。 部長らは皆「そんなリスクはおかさない」と答えました。

一度手にしたものを過大評価しちゃう認知バイアス 「保有効果」

認知バイアス大全マガジン今回紹介する「保有効果」は認知バイアスのひとつです。認知バイアスとは、人間が不合理な行動をする原因のひとつ。そんな認知バイアスを集めたのが認知バイアス大全マガジンです。 買ってからより好きになる……これは有形無形に関わらず、発生する価値評価の変化です。思い浮かんだアイデアは捨てにくいし、気に入ったアクセサリーは買った価格で買取をオファーされても、なかなか承諾しがたくなる。これを保有効果と言います。 オークションで一度最高入札者になると……まだ手に入